災害時にも通話規制の影響を受けずに通話ができるIP無線機を提供する株式会社ニシハタシステムが、幼稚園・保育園・こども園にIP無線機を提供しはじめたのは2017年です。
IP無線機はドコモのデータ帯域を利用するため、災害時の通信手段として注目を集めました。携帯電話とは異なり、一斉連絡やグループ通話が手軽にできることから、園内の内線や園外保育、バスとの連絡など様々なシーンで、職員間のコミュニケーションにも役立てられています。現在では全国約850カ園で導入されています。
2020年9月、同社が新たにリリースしたバスロケーションシステム「バスwaCoCo」は、IP無線機のGPS機能を活かし、園バスの位置をLINEで保護者に通知するというサービスです。
園バスに添乗する保育者は、バス乗車時にIP無線機のGPS位置情報計測を開始します。非常に簡単な操作で手軽に自動計測でき、添乗している保育者がバス停の通過状況を都度、通知する必要もありません。
保護者はLINEで友達登録をし、園専用の施設コードと利用するバスコース名を設定するだけ。LINEのトーク画面から「今どこにいる?」をタップすると、バスの位置情報がリアルタイムに届きます。
特徴は、「保護者自身がバスの位置情報を確認できること」。メールやアプリの通知を待つことなく、保護者が知りたいときに手軽にバスの位置を確認できるため、園においても朝の忙しい時間帯の問い合わせ軽減につながります。利用においても、メールアドレスなどの個人情報の収集・管理もなく手軽に始められることがポイントです。
ニシハタシステムのIP無線機を災害対策のニューノーマルに
3・11を機に、日常業務や災害時の情報共有ツールとしてIP無線機を導入していた八王子すみれ幼稚園(東京都八王子市)は、「バスwaCoCo」のリリースを受け、導入を即断しました。
同園のバスコースは、高速道路や圏央道、バイパスが行き交う交通量の多いエリアにあり、園児の送迎において事故や工事の影響をダイレクトに受けやすいことが課題でした。
「これまで15分以上バスが遅れる場合は、保護者にメールで連絡していた。悪天候時はなおさら、小さな子どもを連れてバスを待つ保護者の大変さも気になっていた」
そう語るのは、浦野真沙子副園長です。
さらに同園は、防犯面の工夫として、園バス1台に対し1つの施設コードを発行。全てのバスコースを保護者に開示しないよう安全管理を徹底しています。
「いつどこで何が起こるかわからない世の中。有事の際、保護者が園を目指すのではなく、その場を動かず保護者に園児を引き渡せる方が安全性が高い」
浦野副園長は日常の送迎シーンだけでなく、災害時の活用を見据えます。
「バスwaCoCo」を企画した同社の西畑進太郎専務は、「毎年過去最大規模の災害が起こっている。コロナに限らず、災害対策においてもニューノーマルの考え方が必要。日常業務と併用できる災害対策として役立ててほしい」と語ります。
編集部より
防災対策や情報共有のためのIP無線機にバスwaCoCoが加わることで、保護者の安心提供につながりますね(今井)