園の目指す姿からICT活用計画を考える ICTグランドデザイン

ICT活用グランドデザインの考え方
 「仕事を見直し、効率化させたい」「持ち帰りを削減、撲滅したい」「ゆとりがほしい」。園の現場では様々な業務改善にICTが取り入れられています。この記事では、改めてICT活用に必要な考え方を紹介します。

 パステルIT新聞編集部は、園内の課題として、職員が早く取り組みたいと答える内容をこれまで聴いてきました。それは、「仕事を見直し、効率化させたい」「持ち帰りを削減、撲滅したい」「ゆとりがほしい」「情報共有の機会や会話を増やしたい」「若手の自発性を活かしたい」「各職域の職員との連携が取りやすい環境をつくりたい」「各職員が意見を出しやすい雰囲気づくりや全体の意識統一をしたい」などというもの。こうした様々な課題を改善するために、ここ数年の中で園向けICTサービスが多く、新たに開発・提供されてきました。

 しかし一方で、ICT活用ならではの課題も挙がっています。「パソコンやタブレットが足りていない」「インターネット環境が整っていない」「職員のICT活用の方法についての研修ができていない」「情報管理のルールが定まっていない」などです。これは、ICTを活用する環境を整える前にICTを導入してしまったこと、本来の課題解決とICT活用とが紐づいていないことが問題です。

 そうした中で、パステルIT新聞は、園でのICT活用には「ICT活用グランドデザイン」が必要であると考えました。グランドデザインとは、園全体の経営構想、教育・保育理念や実践構想のことで、目指す姿や取り組みを端的にまとめたものです。ICT活用はあくまで手段。目的を明確にした上で、職員同士で活用イメージを描き、実践することが大事です。

意識・知識を核とした対策

 ICT活用による成果を高めるためには、まず経営者の理解・決断、次に職員による推進チームの結成、そして活動全般の見直しが必要です。見直しの方法は様々あり、緊急度・重要度で割り振る方法、業務内容の棚卸しや職員の行動に基づいて考える方法、中長期的な視点で未来の園構想を描いて現在の業務を振り返る方法があります。見直しで意識したいことは、ICT環境構築の基本である「1.いつでも」「2.どこでも」「3.気軽に」が実現できるようにすることです。

 また、「教育」も忘れてはいけません。保護者も職員も今や「スマホ世代」。いつでもどこでも気軽に情報を受発信できるからこそ、情報モラルが求められます。情報漏洩の大きな原因は、管理ミスや誤操作などの人的なもの。ICTを活用する上で、各職員の情報モラルに対する意識や知識を高めることが必要です。

風土改革にもつながるICT活用

氷山の一角のようなイメージ

 しかし、だからと言って、厳しいルールで締め付けてしまうと「気軽に」がなくなってしまいます。ICT活用には、職員一人ひとりがアイディアを出し、個々の利用や判断に委ねることも必要です。

 それはまさに、園全体の風土改革。園それぞれの目指したい姿を実現するためのICT活用は、園によって多種多様なはずです。だからこそ、自園のICT活用を通し、風土改革も意識したいものです。自由度を高め、目指す園の姿に向けた一体感を醸成し、積極的に新しいことにチャレンジし、改善を図ることが大切です。

 ICT活用により、事務業務削減だけでなく、職員同士や保護者との信頼を生む情報共有や、スムーズなチーム連携、意欲を高める職場づくりへとつなげていきましょう。

執筆者
八木侑子

2・4面担当のパステルIT新聞編集スタッフ。ライティングだけでなくデザインも担当しています。

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