ニシハタシステムのIP無線機導入園急増 災害をきっかけに見直し

導入園の声と年間IP無線機導入園数の3年推移。導入園数は、2019年7月時点で526カ園を突破し、2017 年時点から13 倍に急増している
IP無線機を活用する園が急増しています。園向けにIP無線機を提供する株式会社ニシハタシステムによると、この3年間で導入した園数は526カ園であるとわかっています。その背景を探りました。

 「当たり前の防災を体現する」を理念に掲げる株式会社ニシハタシステム(大阪府泉佐野市)は、緊急地震速報機の設置や、災害時にも通話規制の影響を受けないデータ帯域での通話を可能とするIP無線機を提供しています。IP無線機は保育者専用の機器ではないものの、その利便性から、保育者の業務で使用する携帯電話やPHSに置き換わるものとして、同社では2017年に園への提供に注力し始めました。そして、この2年余りで、導入園数は急増しています。2017年はIP無線機を導入する園数が39カ園だったところ、2018年は290カ園、2019年は7月時点で197カ園と、2017年から2019年にかけて、累計で13倍の導入園数となっています。

 こうした動きの背景には、全国各地で相次ぐ災害が、防災への対応をより緊迫して見直すきっかけとなっています。パステルIT新聞が2018年に行った読者アンケートでは、災害を経験した園経営者は、「園児たちの安全確保と保護者への指示を徹底するために、情報収集が今後きちんとできるかどうか……」「正確な情報がリアルタイムで受け取れない」と不安の声を漏らしていました。災害時は、次に取るべき行動を判断するための状況把握が重要だということです。災害時に地震速報などの災害情報が届き、連絡が取り合えるIP無線機は、こうした課題に応え得るとして、導入園が増加。2018年6月に起きた大阪府北部地震では、約50カ園が被災後に導入したことからもそ有用性がわかります。

 ニシハタシステム代表取締役の西畑恭二氏は、「子どもたちは避難訓練を通して、地震が起きると机の下に潜るなど、条件反射ですぐに身体が動く一方で、大人は先に頭で考えてしまう分、即座に動くことができない傾向にある。日々、瞬間的に動く訓練を大人もすることが大事であるし、より早く行動できるように円滑に情報を受発信できる体制を整えることは大事。子どもたちを守る立場である保育者の皆さんであればなおさら」と話します。そうした考えに共感した園が、日常的にもIP無線機を使い、操作に慣れながら、いざというときの体制を整えています。

園児が熱演!使い方わかりやすく

不審者を発見した際、発見した保育者が園内の保育者にIP無線機で一斉連絡をし、全員で園児を守る様子を再現している

 同社が運営するWebサイトでは、園におけるIP無線機の活用をわかりやすく紹介。全国各地の幼稚園・保育園・認定こども園の活用事例が見られる冊子をダウンロードできるとともに、利用イメージ動画も視聴可能。地震発生時と日常利用の2種類の動画です。

 地震発生時の利用イメージ動画では、八王子すみれ幼稚園(東京都八王子市)の園児や園長らが出演。緊迫感溢れる地震発生時の様子を表現しています。日常の利用イメージ動画では、福増幼稚園(千葉県市原市)の園児たちが保育者に扮してシーンを再現。バスでの送迎時や園内連絡時、不審者警戒時での一斉連絡と3つのシーンを中心に紹介しています。どちらも各園の実体験をもとに再現しており、各シーンに共感できると話題です。

公式サイト

執筆者
八木侑子

2・4面担当のパステルIT新聞編集スタッフ。ライティングだけでなくデザインも担当しています。

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