コロナ禍の保育に安心を 理念一途に商品開発「KidsKagu」

1人用机の「New H desk」。複数台を並べることで長机のような使い方も可能
 2022年2月初旬現在、全国でオミクロン株による感染が急拡大する中、子どもたちや保育者が安心できる環境づくりが再び見直されています。保育家具を提供する浅井建築設計事務所の浅井社長に伺いました。

 新型コロナウイルスの感染が国内で確認され、終息することなく第2波が訪れた2020年7月、木製保育家具「Kids Kagu」を手がける浅井建築設計事務所には、1人用机「H desk」の注文が急増しました。もともと同商品は、小学校への就学を意識して設計された勉強机。それがソーシャルディスタンスの確保という観点から、保育現場でも必須の家具として求められるようになったようです。

 そこで同社は、新型コロナ対策商品として同商品をリニューアル。脚の取り外しが可能になり、成長に合わせて机の高さを変えられるようになりました。

 さらに、ソーシャルディスタンスの確保に加え、対面防止にも対応できるよう、1人用・2人用から選べる「Free desk」を新たに開発。サイズの異なる2種類の天板、高さの異なる6種類の脚、キャスターの有無など、同社の家具の中で最多のバリエーションを用意し、優先的に製造したそうです。

 「先生方にはそれぞれ与えられた保育室のスペースがあり、お子さまの数がいる。先生方の使いやすい家具を選んでもらえるようにしたかった」

 当時の開発背景について、同社代表取締役の浅井匠汰さんはそう振り返ります。

 「Kids Kagu」を立ち上げた当初より同社が変わらず大事にしているのは、子どもの安全と保育者の利便性を両立するような家具を適正価格で提供すること。これまでも、子どもが安全に持ち運べる軽さでありながら耐荷重100㎏を超える強度をもつ椅子や、正しい手順でなければロックが外れない独自構造の折り畳みテーブルなどを開発。海外生産と少人数の組織体制で、従来の保育家具よりも安価で提供できるよう創意工夫を重ねてきました。

 そしてその理念は、今回の新型コロナ対策商品の開発や、保育者の使いやすさをより追求した既存商品のリニューアルにも表れています。必要とする人に行き届くようにと、2020年7月から2021年6月には、コロナ対策応援価格を実施。一部商品の価格を期間限定で下げました。「Kids Kagu」立ち上げ当初から適正価格に挑み続け、常に最低価格で販売してきた同社にとって、値下げは非常に珍しい決断だったそうです。

 「安全な家具を、一刻も早く。普段お世話になっている保育業界の力になりたいという一心だった」

 2022年2月現在、感染再拡大を受け、同社は人口に対する感染者が最多の沖縄県の保育施設を対象に、飛沫防止卓上パーテーションの無償提供を開始。今後の感染拡大状況により対象を広げることも検討するなど、コロナ禍の保育施設の支援を続けています。

「安価で高品質」を実現する販売方法

「Kids Kagu」オンラインショップ
https://www.kids-kagu.com/shop/

 同社が他の保育家具メーカーと異なるユニークな点は、営業がいないこと。年に2~3回、全国の保育施設にカタログを郵送し、注文はオンラインショップやFAXで受け付けています。

 その理由は、お客さまに最低価格で商品を提供するため。社員数は約10名とかなり少なく、設計士のほか、総務、経理、事務、倉庫管理などのスタッフが在籍。営業のいない組織体制だからこそ、管理費を抑え、適正価格を維持できるそう。

 「縦割りがなく組織図もない。組織図があると、それがその人の仕事になってしまう。出荷が忙しい時期であれば、事務スタッフが倉庫管理を手伝うこともあり、それは私も同じ。でなければ少人数で回らない」と浅井社長。安全で、機能・デザイン共に優れた商品を”常に適正価格”で提供する工夫がここにありました。

 本記事で紹介した「New H desk」は1万円、「Free desk」は1人用8980円、2人用1万1980円(すべて税別)。無料貸出も実施中です。

㈱浅井建築設計事務所(埼玉県)

保育家具「Kids Kagu」は、安全性や保育者目線の利便性、子どもの感性を育むようなデザインが特徴。2009年、2012年グッドデザイン賞受賞。無料貸出実施中。

執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、ブランディングや採用活動に取り組んでいます。

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