最新サービスが勢揃い
保育博は、様々な分野での展示会運営を手がけるメッセフランクフルトジャパン株式会社(東京都千代田区)が主催。保育園・幼稚園・認定こども園などの運営に必要な最新の製品・サービスが紹介される展示会と、次代における教育のあり方や保育に必要な考え方を学ぶセミナーで構成されたイベントです。2日間で2952名の園関係者が来場し、教育・保育活動をサポートする最新の製品・サービスの使い心地を試す人々で、会場は賑わいを見せていました。
展示会では、園の運営に活用できる106社・団体の製品・サービスが全国から一堂に集合。折り畳み式のベビーベッド(1面記事)や壊れにくい食器、保育理念をカタチにする園舎の建設、保育者の採用を手助けするWebサービスなどが並びました。そうした中には、まだリリースされていない最新のものも。中でもICTサービスでは、園児名簿を管理するシステムや、煩雑な写真販売業務を簡素化するWebサービス、乳幼児突然死症候群(SIDS)対策の業務をサポートするセンサーが複数社より紹介されていました。保育者の衣服に装着したカメラで、30秒ごとに自動でシャッターを切り、自然体の子どもたちの表情を切り取った写真の販売を手助けするサービス「ルクミー」の担当者は、「衣服装着型のカメラは4月にリリースしたばかり。そして、写真枚数のバラつきを教えてくれる顔認証によるAI機能は、今年中に完全リリース予定。園業務を助ける機能をどんどん開発しているところで、先生方に知ってもらえるようもっと案内していきたい」と話しています。園業務をサポートする新しい技術がさらに加速して届けられていることがわかります。
ベビーテック大賞発表 日本の技術世界に発信
同イベント内では、ICTを用いて、妊娠・出産・子育てを助ける製品やWebサービス「ベビーテック(babyとTechnologyを組み合わせた造語)」で優れたものを表彰するベビーテックアワードジャパン2019も開催。ベビーテックは、米国では先行して注目されており、同アワードは日本で使用されているものを対象として選定されました。授乳と食事、遊びと学び、安全対策、妊娠、健康管理、施設向け管理システムの6部門があり、乳児の泣き声から感情を分析してどうして泣いているのかを読み解くことができるアプリや、胎児の心拍と妊婦のお腹の張りを自宅で測ることができるIoT機器などが表彰されました。
ベビーテックアワードジャパン実行委員長である、株式会社パパスマイル(東京都千代田区)の永田哲也代表取締役は、「ベビーテックのアイディアや種類は、実は米国よりも日本の方が上回っている。文化が違えど、子育てについては勘所が同じ部分は多く、日本のベビーテックは世界でも通用するはず。保育現場の実態に即した小気味よい操作性など、日本の技術力を世界に発信していきたい」と語ります。
次代の保育や保育者採用・育成のヒント得る
子育てに関わる著名人によるセミナーや座談会など20以上のプログラムも実施されました。学校法人菊地学園理事長であり、静岡第一テレビの歌のお兄さんであるまあせんせいは、「保育博は、子どもの育みへの夢や希望や願いが込められている」と同イベントに期待。その他、「くまのがっこう」絵本作家のあいはらひろゆき氏によるトークショー、保育活動に役立つアイディアを紹介するWebサイト「HoiClue♪(ほいくる)」を運営する雨宮みなみ氏による講演、園経営者5名を迎えたパネルディスカッションなどが行われました。
中でも、保育者不足の解消をテーマに、現役保育者が情報発信する人気インスタグラマー「Teacherys」は初めてリアルな座談会を実施。「実習」「就活」へのリアルな悩みに、保育者や園経営者、養成校教授から意見が飛び交いました。
また、学校法人リズム学園(北海道勇払郡安平町)の井内聖学園長と学園経営コンサルタントの石田敦志氏による対談では、リズム学園で実施している、ICTを活用した保育業務の改善と、保育者の採用や育成の手法について語られました。昨年の地震の体験も交えて井内学園長は語り、聴講者は経営改革の必要性に大きくうなずいていました。
保育博は、来年も同時期に開催予定。状況が変化する1年後も、次代に合った保育・教育を実現するための、様々な知識や体験を得られる場となりそうです。