第3回「保育は芸術であり…」
原町幼稚園 園長 鶴谷 主一

「原点回帰~子どもの未来をつくる人~」は、保育・幼児教育において大切にしたい原点を園長先生が語るコラムです。今回は、原町幼稚園の鶴谷主一園長の「原点」を教えていただきました。

今から30年ほど前、当時玉川大学の教授だった日名子太郞先生を慕って香港のオイスカ日本語幼稚園で主任として働きました。園運営のことで事務長と対立し、ストライキ騒ぎまで起こしてしまったため5年の予定を繰り上げて2年で帰国しちゃいました。日名子先生は月2回日本から飛んでいらして園の業務が終わったあと、毎回ホテルで個人的に〝講義〟をたっぷり聞かせていただいた経験は僕の保育観の大きな原点となっています。

 先生は理論はお話になるけれども具体的に活動内容を指示されることはありませんでした。「自分で考えなさい」ということです。香港で日本の幼児教育を行うことは、教材が手に入らないことを筆頭に困難がありましたが、僕らのミッションは先生の理論を保育活動で実現させることだと考えていたので試行錯誤の日々でした。「自分で考える」姿勢と「やってなんぼ!」という現場主義が身についたのもこの経験あってだと感謝しています。

 先生からいただいた色紙には、『保育は芸術であり、あくまで花の如くとらえたい。保育は一つの道である、たえず保育者が情感をただよわせてこそ保育の花は開くものである』とあります。もともと飛行機の設計をされていた理科系統の先生ですが、情感豊かに保育を芸術と表現してくださったこの言葉は、『保育とはクリエイティブな仕事』だと認識させてくれます。日々の業務で「こなす」だけの雑な仕事にならないよう、今の僕らのチームでどんな花を咲かせようかと気持ちを新たにさせてもらえるのです。

原町幼稚園(静岡県沼津市) 園長 鶴谷 主一先生

両親が運営していた宮崎県の都農聖愛幼稚園で助手として勤務。その後、東京や香港の幼稚園を経て、原町幼稚園へ。同園12年目の年に園長となり現在に至る。原町幼稚園の実践レポートは、対人援助学マガジンにて連載中。

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