被災地から発信。子どもの命を等しく守る 地域と避難訓練を実施

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 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県多賀城市。2023年11月、同市の柏幼稚園・大代保育園で大規模地震を想定とした合同避難訓練・講習会が実施され、市内外から58名が参加しました。


この記事のポイント

  • 被災地が発信する幼保施設と地域とが連携して行う避難訓練
  • 地域住民、企業、防災士、県外など、園を超えたそれぞれの参加者の視点を共有する価値
  • 子どもの命を等しく守る 訓練の格差をなくすためにできること



 多賀城市は東日本大震災で地域の約3分の1が浸水。市内を襲った津波高は2~4mでした。県が新たに公表したハザードマップでは、最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合の浸水区域は震災時の1.87倍、第一波の到達予想時間は約60分後という想定が出されました。今回避難訓練を実施した柏幼稚園と大代保育園もこの浸水想定区域に位置します。

 「自力での避難が難しい子どもの命を等しく守る」。被災地が発信する幼保施設と地域とが連携して行う今回の避難訓練には、町内会や消防団、防災士資格を持つ郵便局局長、近隣企業らが参加し、県外からも参加希望者が集まりました。

雨の中、大人のみで二次避難訓練を実施

命を守る行動に全員の視点を活かす

 雨天となった訓練当日。シェイクアウト訓練後の二次避難は大人のみで行われ、参加者らは高台にある小学校までの避難経路の危険性を確認したり、避難車を押す保育者をサポートしたりしながら訓練を行いました。道路状況を確認する先発隊と後発隊との連絡にはサポーターとして訓練に参加する㈱ニシハタシステムがIP無線機を提供。離れた場でもボタン一つで連絡できるIP無線機を現在地や避難経路の状況把握に役立てました。

 訓練後は参加者で講習会を実施。民家のブロック塀や木々の転倒、電線が切れるなどの危険性や、歩道橋や川を渡らずに済むような二次避難場所について互いに気づきを共有しました。

 柏幼稚園の本郷友道園長は「地域の人に園を気にかけてもらい、一緒に訓練ができたことは大きな一歩。わずかな距離の違いで地域差が出るので状況に応じて避難先を判断したい」とふりかえり、大代保育園の鈴木慶祐園長も「コロナ禍で途絶えていた近隣施設との交流を見直し、有事の際も助け合える関係性を築いていきたい」と語りました。

無線機で後方の園長と連絡をとる大代保育園の保育士
歩道橋を避難車を押して渡る参加者

備えに終わりはない 訓練の格差をなくす

 地域住民や企業、防災士、県外の保育・教育関係者など、さまざまな参加者の視点が共有された今回の避難訓練。東日本大震災では、園の管理下で失われた幼い命もありました。訓練を主催した一般社団法人Bird’s-eye代表理事の菅原淳一さんは、「子どもの命を守るための備えに終わりはない。さまざまな方の視点で一緒に避難訓練することで子どもの命を等しく守る方法を見つけていきたい」と訓練に込めた思いを切々と教えてくれました。

参加者の声

■ 大代保育園 鈴木慶祐園長(大代ルート)
いきなり東小学校に避難するのではなく、途中にあった公園に二次避難して休めるようにするのもいいのではないかという意見や、近隣の老人ホームに避難する方が子どもたちや保育士にとっても有効ではないかという意見をいただいた。コロナ禍で交流が途絶えてしまっていたので、改善していきたい。かけがえのない命を守る職業であることを忘れず、今後も意識を持って活動していきたい。

■ 大代保育園保育士 佐藤美穂先生(大代ルート)
地域の方にも避難車を押していただいたが、実際はあのカートに6人の子どもたちが乗る。約60kgの負荷がかかるが、それ以上に子どもたちに「大丈夫?」と声かけをしたり、不安がらないようにゆっくり押したりすることも大切になる。次にこうした機会があれば、そういったことも地域の方に知っていただけたらよいのかなと思った。

■ 静岡県浜松市・マーガレット保育園 安藤香澄園長
避難訓練に参加して、雨対策が甘かったことも痛感した。すぐに全員分のカッパや避難車の雨よけを手配するように、職員に伝えた。「大代保育園」の旗もすごくよかった。お預かりしている以上は、「一人も犠牲を出さない」という方法がどこかにないかを考えたい。「私たちの避難地はあそこ」「こうしなきゃ」という思い込みは時にひっくり返して考えないと、安全な避難は難しいと感じた。実際に歩いてみることで、「別のやり方もありそう」と気づくことのできる避難訓練だった。

■ ニシハタシステム 北井達也さん(大代ルート)
避難車のサポートに入ったが、高台に登るまでの坂道の傾斜がきつく、保育士さんだけで避難車を押すのは大変だと感じた。普段慣れていないこともあったので、横断歩道などでの「止まります」「動きます」という先生の声掛けに気付くのが遅れて、グッと避難車を押してしまうことがあった。慣れの部分で圧倒的な差は出るなと感じたので、二次災害にも気を付けなくてはいけないと思った。

■ 一般社団法人Bird’s-eye 菅原淳一さん
「備えすぎ」ということはなく、子どもの命を守るための備えに終わりはありません。今後も県内外のいろいろな方の視点で一緒に避難訓練をすることで、命を等しく守る方法が見えてきたらうれしく思います。

株式会社ニシハタシステム

IP無線機や緊急地震速報機を提供。社員の防災意識向上やより質の高い保育防災に取り組むべく、本訓練にもサポーターとして参加。

執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

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