学校法人三和学園福増幼稚園(千葉県市原市)は、「幼児期に育つものこそ幼児期に育てるべきもの」を教育方針に掲げています。この環境をつくるために、元不動産営業マンだった宮田理事長が日頃から念頭に置いているのが「ネック潰し」だと言います。「教諭たちが保育に専念できる環境を用意することは経営者の使命であり、それは子どもたちへの良き支援の充実に直結する。しかし、園内の仕事は実に多肢に渡る」と宮田理事長。そこで、教諭たちが日頃ネックに感じているものや障害となるものをできるだけ排除して、保育に全力で活動できるように、さらには災害時に大事な幼い命を守るために、IP無線機を導入しました。
2018年5月に導入し、クラス担任に9台、バスの運転手に3台、園長に1台の計13台を使い、毎日スムーズに連絡を取り合っています。「教諭同士が常に密な情報共有をしている姿は、それを見る保護者の安心につながる。さらに、人間関係が希薄化し、文字での連絡が多くなる中、声でのコミュニケーションは緊迫感や楽しさなど感情の受け渡しも行える。その豊かなコミュニケーションの姿を子どもたちや保護者に見てもらうことで教諭たちの質向上にもつながる」と宮田理事長は語ります。
また、IP無線機はワンタッチで通話ができる他、クラス別などのグループを作成することができます。導入前は、職員室で受けた保護者からの電話をクラス担任に伝えるのに内線を使い、教室に担任がいないときは大事な連絡も複数の人を介したり、タイムロスが生じたりしていました。「IP無線機は簡単に操作ができ、今まで生じていた小さなミスやロスがなくなった。小さなものでも積み重ねると大きなミスやロスにつながるので、これが解消できたことは本当に助かる。これからは園舎の隣にある山の中でダイナミックな保育を展開したいので、IP無線機の活躍の場はますます増えていく」と楽しそうに宮田理事長は語ります。
子育て支援の空間を地域に開放
また、同園では、園舎近くに2階建てで耐震構造の「FUKUMASU BASE(フクマスベース)」を毎日開放しています。そこは、同園の保護者だけでなく、地域の子育て世代や近隣の住民が自由に出入りでき、語り合い交われる場であり、情報発信の基地(ベース)。「子育て世代のまわりには不必要なプレッシャーが盛りだくさん。不安を解消すればもっと気楽に楽しく子育てできるので、地域も明るく元気になる」。コミュニケーションを大切にする宮田理事長の想いや理想が詰まっています。