「働き方改革」を一度忘れて日々の問題を解決 童話から問題に気づき

書籍「仕事ごっこ」を手に沢渡あまね氏(写真右)。書籍内には、12のエピソードが収録されている(写真左下)©仕事ごっこ ~その"あたりまえ"、いまどき必要ですか?(技術評論社)
2020年、小学校の新学習指導要領が10年ぶりに改訂されます。ビッグデータやAIの活用など、著しい社会変化が予想される中、「生きる力」をどう育むか。脳科学に基づいた育脳が注目されています。

 「働き方改革をやらないといけないことはわかっているが、何をすれば良いかわからない」「働き方改革のプロジェクトを立ち上げるにも、日常の業務が手一杯で時間が取れない」という園経営者が多くいます。依然と人材不足が続いていること、2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されることが相成り、保育者の残業時間削減や有給休暇の積極的な取得に向けて就業規則を見直している園は少なくありません。そうした中、管理者と一般社員が一緒になって、仕事の習慣を客観視できる書籍『仕事ごっこ』が7月6日に発売されました。企業向けの内容ですが、保育現場でも気づきとなるエッセンスが詰まっています。

 『仕事ごっこ』とは、当初は合理性があり、今では仕事の「あたりまえ」として根付いているものの、時代の流れに伴い、生産性やモチベーションの足を引っ張る仕事や慣習のことです。同書の特徴は、動物や昔の王様などを登場人物にしており、童話のような描写をしていること。例えば、白ヤギさんが黒ヤギさんに旅行の誘いを手紙でしようとするが、発送までに時間がかかり、電子メールやクラウドサービスを活用する黒ヤギさんが他のヤギさんと先に旅行に行ってしまったり、王様が国民を元気づけようとパーティーを開くが国民は望んでおらずむしろ疲労が募ってしまったりと、12話が収録されています。クスっと笑える童話のような設定と描写が、自身の職場を前向きに見直す適度なクッションとなっています。

 著者は、自身の職場での経験をもとに、職場の問題を「地図」という手法で視覚化して解決する書籍『職場の問題地図』で有名な沢渡あまね氏です。沢渡氏は、業務改善・オフィスコミュニケーション改善士として、講演・アドバイザー活動や社内コミュニケーション改善を通した組織活性化の実務支援などを全国各地で行っています。「課題を共有し、当事者間で『景色合わせ』をするためには、テーマと隙(話すきっかけ)が必要。コミュニケーションのきっかけとなるテーマや隙をつくることで、問題共有につながる」と沢渡氏は言います。

ITでプロの仕事に全力投球する

問題の言語化が大事と話す沢渡氏

 保育の現場では、1人で動き、日々の問題をその場で解決することが多いもの。そのため、保育者1人で問題を抱えてしまう傾向があります。そうした中で、まずは5分程度でも、みんなの前で日々の気づきや悩みを話す時間づくりをしてほしいと沢渡氏は提案しています。なぜなら、それが他人の視点や観点を知るきっかけになり、みんなが抱える問題の「景色合わせ」につながるため。「『働き方改革』という大きなことをするのではなく、まずは日々の自身のモヤモヤを解決し続ける感覚が大事。園経営者や保育者それぞれの立場の人が、それぞれの役割で汗をかくことで、真の問題解決になる。管理者も現場も同じテーマで景色合わせができれば……」と、『仕事ごっこ』を執筆した経緯を語る沢渡氏。保育者のIT活用について、さらに続けます。「保育者が自身の専門性を活かし、子どもたちの育みを支えるという、保育者としての本来価値を伸ばしてほしい。プロがプロの仕事に全力投球することを邪魔する雑務などの『アンヘルシーなもの』はITで効率化して良いのでは?」IT部門や広報部門での勤務経験のある沢渡氏だからこそ、この言葉に説得力があります。

 自分だけで抱え込まず、問題と捉えていることをきちんと言葉にして、他の人の力やITの力も借り、一緒に問題解決していくことが、今の保育現場の働きやすさと人材育成につながるのではないでしょうか。

執筆者
八木侑子

2・4面担当のパステルIT新聞編集スタッフ。ライティングだけでなくデザインも担当しています。

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