離れていても密な情報交換で園児を見守る IP無線機で園児の体験後押し

「おとぎの森」でIP無線機を使って情報交換をし合う浦野副園長(写真右)。山の中でも安定した音質で状況把握ができると、安心の表情が伺える
保育者間の情報伝達手段として、リアルなコミュニケーションの他に内線電話を使う園が多いなか、電話の代わりにIP無線機を使い始める園が増えてきました。園児を見守るツールとしても日常的に活用している様子を取材しました。

 「自然を教科書に体験を通して学ぶ」という教育理念を持つ(学)浦野学園八王子すみれ幼稚園(東京都八王子市)は、都立滝山自然公園の敷地内に園舎があります。裏門は山の傾斜がある森のスペース「おとぎの森」につながっており、秋の季節にはふかふかの落ち葉の中に飛び込んで寝そべる園児と職員の姿が日常的です。隣接する昭島市の系列園を訪問して交流したり、長野へキャンプに遠征したりする活動などが充実しており、1日の多くを屋外で過ごすことで、自然の中で生き抜く知恵や力を育みます。また、小学生も参加する課外体育教室では、職員が同行せずに園児が山に遊びに行くことも。「せっかく自然の中に構えた園舎で、子どもたちが四季を感じながら過ごせる環境だから、どんどん外に出ていろいろな体験をしてほしい。『いってらっしゃい』の一言で安心して送り出すことができるのも、IP無線機があるから」と話すのは、浦野真沙子副園長です。

 IP無線機は、専用のデータ帯域を利用しているため、日本国内どこにいても安定した通話が可能なモバイル機器。万が一の災害時にも通信規制を受けずに通話できるため、外遊びの多い同園では、日常的に便利な情報伝達の道具となっています。そしてさらに、職員同士のコミュニケーションを活発にしたり、物事を簡潔に伝える訓練になったりと、IP無線機の利用が思いがけない効果につながっているようです。「誰もが同じ考えを持って子どもたちと接するべき。良いことも失敗したことも何でも共有する。例えば、『うまく木登りができずに奮闘していた○○ちゃんが、今、靴を脱いで、無事に木登りができました!』といった、園児の成長の瞬間をIP無線機で伝え合っている。そういった積み重ねが、職員全員で園児を守ることにつながる」と、微笑みながら浦野副園長は語ります。

瞬時に状況を共有する手段

バス送迎で停留所ごとに状況を伝達

 携帯電話以外の情報伝達手段を検討するきっかけは、3・11の経験でした。地震発生時はバス送迎の時間。携帯電話がつながらない状況では、バスの居場所や様子を園内で素早く把握できなかったようです。「大人が慌てふためいていると、園児も不安になる。瞬時に状況を共有できなければ冷静に行動できない」。そんな課題を持った浦野副園長が出会ったのが、IP無線機でした。(株)ニシハタシステムより無料貸し出しを受け、使い勝手の良さを実感し、1週間程でリースの導入に至りました。

 今では、バス送迎時だけでなく、毎日園児の育ちをサポートできる頼れる存在です。状況に応じてイヤホンを使用し、通話内容を外に漏らさずに、個人情報を守りながら情報伝達をする工夫もしています。園児を守る体制づくりにますます磨きがかかっている同園でした。

(株)ニシハタシステム
お問い合わせ
0120-775-956

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執筆者
八木侑子

2・4面担当のパステルIT新聞編集スタッフ。ライティングだけでなくデザインも担当しています。

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