「次は何かな~ ?」。先生はやさしく声を掛けます。登園したら自分で荷物を持ってクラスルームに入り、連絡帳で今日の日にちを確認する園児たち。お散歩から帰ってきたあとも、自然に手洗いやうがいをします。子どもたちの主体的な行動を促す声掛けで、生活習慣づくりをサポート。0歳児~2歳児で自立し、3歳児~5歳児で主体的に考えられるようになることを目指しています。
小森園長は、会社員時代に後輩社員の教育を担当した経験から「人の成長」について考えるようになりました。そして、人の成長に「0歳からの一貫した教育」が深く根ざしていることに関心を持ち、子育てを支援する世界に飛び込びました。
2005年に保育所を開園、2014年に認定こども園の園長となりました。子どもたちを育むためには、まず先生を育て、組織を育てることだと考える小森園長。現在の職員は大半が若手ですが、自ら考え積極的に行動してくれていると言います。「モノによる環境づくりはお金さえあればできるが、難しいのは『人』による環境づくり。これが何より大事だ。子どもたちは先生の影響を強く受けるので、先生自身が豊かな心を持って子どもたちと接してほしい。また、自分が有する資格に、弁護士や医師などの国家資格と同じくらい誇りを持って働いてほしい」と小森園長は語ります。
同園の玄関には、保育教諭、調理師、管理栄養士など、職員の資格証書が掲示されており、これがモチベーションの源のひとつとなっています。
また、保育・教育の計画は三年目の先生が担当。クラスごとではなく、全学年を総合的に企画しているその先生の名刺に「総合企画室」と記されているのも、先生の意識向上につながっていると言えそうです。この他、手厚い待遇、人材教育や組織づくりのマネジメントなど企業人の発想が随所に活かされています。
先生と園児の関係も積み重ね
7月5日の七夕会では、全園児が集い、先生たちによる演劇を楽しみました。部屋を移動するとき、リーダー的な存在の五歳児の女の子が先生の誘導の前に行動し、他の子どもたちも従ったので、速やかに移動ができました。子どもたちが主体的に動くこと、先生たちはそれを信頼して、時に委ねる関係になっているということが日常の中で見られた瞬間でした。
「先生たちは子どもたちと向き合い、時には涙しながら悩むが、今はキラキラと輝いている。園の宝だ」と語る小森園長。ともに子どもたちを育む先生たちへの深い愛情が込められた言葉です。
人の成長に「区切り」はなく、一貫した教育のもとにすべてのプロセスがつながっていく。小森園長の信念のもと、子どもたちと先生がともに成長する場は、今日も新たな挑戦をしています。