園長や保護者にも情報モラルの話題広がる 全国の園でセミナー開催

2014年10月から開始されたセミナーは、2015年6月までに20カ所で開催される
母親目線でネットの安全利用を呼び掛けるNPO法人イーランチは、2014年秋より、「スマホのある子育てを考えよう」をテーマに全国の幼稚園・保育園などで保護者向けのセミナーを開催してきました。各地での反響を取材しました。

 「スマホのある子育てを考えよう」は、セキュリティソフトメーカーの株式会社カスペルスキーの協賛で実現しました。全国の幼稚園・保育園で保護者向けの啓発セミナーが大々的に開かれるのは初めてのこと。限定20園の募集を上回る依頼が集まり、すでに福島から熊本にわたる地域で300名以上が受講しました。

 「子どもがスマホを離さなくなっちゃって・・・」。福島のかしま幼稚園では、新妻園長が懇談会で母親の悩みを聞き、情報モラルやセキュリティ対策を学ぶ必要性を感じてセミナーを依頼しました。静岡の広幡こども園ではPTAがセミナーを見つけ、総会の場で開催しました。菊川園長は「スマホは怖い、ネットは危ないという話を頻繁に聞くようになったが対処がわからなかったので開催に賛同した」と語ります。

 セミナーでは「親と子のスマホ利用実態調査」を確認したり、ワークブックに自身の状況や悩みを書き込んで整理したり、具体的な対応策を専門家に学んだりします。グループディスカッションでは、親の都合で子どもにスマホを渡してしまう後ろめたい想いや知識がないことに対する不安が吐露されるだけでなく、すでに家庭でのルールをつくっている参加者が具体的な事例を挙げ、情報の共有がされていました。

家族ぐるみで学ぶ必要性

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 参加者からは、「セキュリティは自身で対策を講じなければならないことがわかった」「他の家庭でのルールが聞けてよかった」「親がしっかり考えてスマホは与えないといけない」「使うことがダメなのではなく、上手に利用していくことが大切」など、様々な感想が寄せられました。

 また、「セミナー受講後に行動してみようと思ったこと」については、まずは家庭でのルールをつくり、子どもたちと話をすること、セキュリティ対策を講じることを挙げる参加者が半数以上を占めています。講師を務めるNPO法人イーランチの松田理事長は、「親の利用が子どもにも影響を与えている。親は子どもたちの目を意識しながら、セキュリティ対策や情報モラルの向上に努めてもらえたら。そして、今後はお父さんにも参加してもらえる機会をつくり、家族ぐるみでの学びを実現したい」と語ります。スマホのある子育てセミナーは六月末までに順次開催。公式サイト(http://sumaho-kosodate.com/)にレポートが公開されます。

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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