京阪電車の森小路駅から徒歩30秒に位置する新森幼稚園のまわりには商店街があり、そこで商売をする人の子どもが多く在園しています。長年地元密着型で、園児たちも仲良く、3代に渡って同園に通う家族もいると言います。同園では、「創意工夫する人間味豊かな人間像」を目指し、通常保育の他に、4つの知育(SIあそび、英語、絵画・造形、パソコン)と3つの体育(プール、体操、ダンス)を実施。日々の遊びや体験を通して、「せんせい、あのね」から始まる伝える力・聞く力・考える力を育て、小学校でも勉強や努力が楽しいと思える子どもの育ちを支えてきました。「ITが加速し、グローバルな世界で競争するには、知識を持つだけでなく、自分なりに考え主張できなければならない。アクティブ・ラーニングを、幼児教育でどう取り入れるか試行錯誤の毎日」と語るのは水野貴久男園長です。
そうした考えのもと、さらに2つの挑戦をしています。1つ目は、2年前から実施しているアートクラブ。年長園児が絵画・書道・音楽から希望のコースを選択し、1年間クラスの枠を超えて取り組みます。地元の展覧会で受賞する園児も多く、興味ある分野を通じて自主性と自信を育みます。
2つ目は、今年5月から取り組んでいる、知育 幼小接続支援教材「ワオキッズ」を使った活動。動画を見ながら、保育者の声がけや解のない問いかけを通して、子どもの発話を促して取り組む協働学習です。5つの学習テーマを持ち、各30、計150の教材が用意されており、読解力と表現力を育むとして、日本アクティブ・ラーニング学会でも認められています。
職員も楽しみ「生きた教材」に
「ワオキッズ」は、預かり保育の時間に活用。24名の園児が5つのグループに分かれて、動画や保育者の問いかけに考えを巡らせ、友達の発表に耳を傾けます。「動画の操作や声がけのベースとなるテキストはあるが、それを読むだけでなく、自身も園児たちと一緒に楽しんでいる」と冨永千佳子総主任。また、水野園長は「型通りにするだけでは『仏作って魂入れず』のように『生きた教材』にならない。保育者と園児、そして教材などすべての『配役』が組み合わさって、より良いアクティブ・ラーニングへの環境をつくりあげる」。試行錯誤をして、全クラスでの「ワオキッズ」実施を目指しています。