1997年、ユージン・カスペルスキー氏がロシアに創設したカスペルスキー社は、セキュリティソフトのメーカーです。現在では英国、フランス、ドイツ、オランダ、日本、中国、韓国、米国など世界二百以上の国と地域で、3,000人を超えるセキュリティのスペシャリストたちが、次々と生まれてくるウィルスなどの、いわゆる「ネット上の脅威」を独自に研究し、ソフト開発・販売・サポートに活かしています。ユーザーは全世界で 3億人以上。個人情報をはじめ、企業、教育機関、官公庁、国家の機密情報保護や、サイバー警察との犯罪撲滅活動にも関わっています。
10月15日、カスペルスキー社はNPO法人イーランチが全国の幼稚園・保育園に展開するインターネット安全利用啓発事業「スマホのある子育てを考えよう」に協賛すると発表しました。保護者向けセミナーを20カ園で開催するとともに、セミナーを収録したDVDを1,000枚配布し、園での自主上映会を促します。母親目線でカリキュラムを作成するイーランチにセキュリティの最新情報やコンテンツも提供。資金だけでなく、内容の充実化にも貢献します。「世界規模の『ネット上の脅威』に対抗するには、ネット利用者一人ひとりの身近な存在になり、連携を深めるしかない」。代表取締役社長の川合林太郎氏は語ります。
意識向上が対策の第一歩
知育アプリや子ども向け動画サービスも急増。乳幼児がスマートフォンやタブレットに親しむ光景も増えました。しかし、保護者の多くは心や体の発達に悪影響を及ぼすことなく楽しむためのモラルやルールの知識を持っていないようです。また、セキュリティ対策をせず、無防備な状態でインターネットを利用してしまっている実態も聞かれます。そのため、非道徳的な利用、健康障害や依存症、個人情報の流出や犯罪被害などといった様々な問題の発生が年々拡大しています。
カスペルスキーが協賛する今回の事業は、こうした社会的な課題を解決するための試みです。「カスペルスキーのミッションは『IT上の脅威から世界を守ること』。サイバー犯罪者が活動しにくい社会にするには、ネット利用者の意識向上が第一歩」。日夜、ネットの闇を目の当りにしている川合社長の言葉は重く、危機感に満ちていました。