幼児教育カンファレンスに180名が参加 20年後の子どもたちの未来を考える

 2018年11月、21世紀幼児教育カンファレンス2019が開催。保育関係者180名が参加しました。ITの活用について、多くの保育者の意識を変えた場を取材しました。

潜在的にもっている「編集力」を育てる

 乳幼児を対象とした知育アプリの企画・開発・販売を展開する株式会社スマートエデュケーション(東京都品川区)が主催する幼児教育カンファレンスが東京大学(東京都文京区)で開催されました。

登壇する藤原和博⽒

 スマートフォンやタブレットがビジネスや日常で活用される一方、教育シーンではその活用方法は未だ確立されていません。「20年後、子どもたちに仕事はあるのか」、「21世紀を生きる子どもたちに相応しいスキルとは何か」、「今なぜICTを活用した幼児教育が注目されているのか」。これからの幼児教育のビジョンを見出すために、4名の名立たる専門家が登壇しました。 

 登壇者の一人の教育改革実践家 藤原和博氏は、未来の生きる力について、「処理力分野(正解を早く見つける力)はAIによって代替されやすく、編集力分野(自分と他者を納得させる力)は代替されにくい。答えのないところから新しい価値を見出す情報編集力が必要」と語ります。この編集力は、10歳までに徹底的に遊ぶという経験や、想定外の出来事への対処経験で身に付けられると言われ、参加者は藤原氏の語る理論に熱心に耳を傾けていました。

ICTを活用した幼児教育から未来へ

 21世紀型スキルとして注目を集めているのは、「創造性とイノベーション」「批判的思考、問題解決、意思決定」「学び方の学習、メタ認知」「情報リテラシー 」「ICTリテラシー」「地域とグローバルのよい市民であること」といった計10個のスキル。そのスキルを磨く方法論として、教育工学・学習環境デザインの第一人者である山内祐平氏は、園で導入されているアクティブ・ラーニングを例に挙げています。さらに、主催のスマートエデュケーション代表取締役 池谷大吾氏は、「自分の考えを発信するためにICTがある。ICTのC(Communication)に力を入れ、幼児教育の場で活用し、ハードからソフトへと時代が変わる21世紀を生きる人材を育てたい」と未来を見据えます。近く、園のアクティブ・ラーニングも、ICTによる変化があるかもしれません。

21世紀幼児教育カンファレンス2019
執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

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