災害時もつながるIP無線機 保育者の安心感に

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 災害時、電話回線がつながりにくくなる状況を想定した「連絡手段の確保」は防災対策の一つです。緊急時を想定し、ニシハタシステムのIP無線機を導入した社会福祉法人康保会を取材しました。

この記事のポイント

  • 災害時に通信規制の影響を受けずに通話できるIP無線機を導入
  • ボタンひとつでつながる!系列園をつなぐ通信テスト毎月実施
  • 導入5カ月で変化。保育者の安心感と園を超えた連携意識の向上



 「緊急時に理事長や園長、施設長がいないときも、冷静に対応できるように」

 東京都台東区で保育園3園、埼玉県で乳児院1施設を経営する社会福祉法人康保会では、園の防災対策・安全対策を見直すリスクマネジメント委員会を毎月各園で実施しています。交通状況に合わせて散歩ルートを選択できるようにマップを作成したり、ヒヤリハットの報告を受けた際には園内に設置した事故検証用カメラで原因と対策を調査したりと、防災・安全対策に注力。東日本大震災を機にBCPの作成にも着手し、「今この園にとって重要なことを職員一人一人が考え、提案し合う文化を形成してきた」と遠藤正明理事長はいいます。

 しかし、東京3施設・埼玉1施設と複数の拠点をもつ康保会では、災害時に電話がつながらず、拠点間での連携が取れなくなる可能性が危惧されていました。

 そうした中、2023年4月に康保会が導入したのが、災害時にも通話規制の影響を受けずに通話できる㈱ニシハタシステムのIP無線機です。いつでもどこでもつながる安心感やボタン一つで一斉通話できるといった利便性から、法人本部・4施設で計6台を導入しました。

IP無線機は一斉連絡やグループ通話が可能。遠藤理事長は職員の希望もあり、365日持ち歩いているそう

 導入後は災害時に誰でも利用できるようにと、全拠点をつなぐ通信テストを毎月欠かさず実施。各園からは園長や副園長、主任、事務担当など、さまざまな役職・年齢の保育者が参加し、ワンタッチで本部や各拠点と連絡がとれることに安心の声が挙がっています。

 さらに、通信テストではIP無線機の使い方や通信状況を確かめるだけでなく、遠藤理事長から「各拠点の天気・気温」「年齢別在籍人数」「水害時の避難経路」など、災害時を想定した確認事項が投げかけられます。「全員が対応できるようにしておきたいこと」と保育者の防災意識向上を図る遠藤理事長の工夫が光ります。

 IP無線機がもたらす効果について遠藤理事長は、「災害時にすぐに本部や各拠点とつながれる安心感は働く保育者の余裕につながる。余裕があれば冷静な判断ができる。そのためのICT」と期待を寄せます。

 また、遠藤理事長によると、康保会のある台東区では東日本大震災が起きたとき、「今日このエリアで計画停電がある」といったデマが出回り、保育者が慌てて園に報告したことがあったそうです。「区役所に問い合わせてデマだとわかったが、こうしたデマに対してもIP無線機があれば適切に指示や軌道修正ができる。それぞれの現場で指揮をとる職員にとって安心材料になる」と続けます。

冷静な行動と拠点間の情報共有促す

 導入から5カ月。通信テストを通して拠点間でコミュニケーションを取る中で、法人内ではプラスの変化が起きていました。

通信テストは各園から職員が参加

 「今まで各園での情報共有に止まっていたものが、園の枠を超えて共有されるようになった」と遠藤理事長。設立103年と歴史も長く、日頃から地域住民と一体となって子どもを見守る康保会では、施設内の非常食や水は地域住民にも提供します。拠点間の連携意識が職員に浸透してきたことは、こうした備蓄品が不足した際のスムーズな連携につながるといいます。

 防災対策の目的は子どもや保護者の安心はもちろん、保育者が安心して働けるようにするため。「いつでもつながる安心感」が保育者の行動を変えていくようです。

社会福祉法人康保会(東京都)

東京都台東区で保育園3園、埼玉県で乳児院1施設を経営。「よい保育は安心から」とICT活用や防災対策、地域と一体で取り組む安全対策を実践している
https://www.kouhokai.or.jp/

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執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

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