「いち、にぃ、さん……」「(数を2つずつ引く学習で)40、38、36……」と声に出しながら、子どもたちは問題を解いています。そこは、富士保育園の一室。園内で学研教室が開かれています。そこに通う学研教室会員は、総勢40名。在園児はもちろんのこと、他園の年少児から中学生まで、地域の子どもたちが放課後に集い、それぞれの学習に励んでいます。同園では、算数、国語、英語のプリント教材学習を週2回、英会話を週4回、プログラミング学習を週1回と、毎日のように教室を開いており、個々で取り組むプリント教材学習の日は13~19時まで教室を開いています。園児はお昼寝やおやつを食べ終わった後、小中学生は学校が終わった後に通い、1人あたり1時間程、学びの時を過ごしています。教室を運営しているのは、鈴木庸子副園長をはじめとして、課外活動を担当する3名の職員です。同園では、長年、課外活動を積極的に実施してきました。
課外活動を大切にする姿勢は、「子どもたちと一緒に、ひとつひとつ」という園の保育方針から。1人ひとりの子どもの主体的なはぐくみをひとつひとつ大切にし、日々の正課活動だけでなく、駅前商店街の人々と交流する干物づくりやパンづくりなど、地域ならではの体験にも多く取り組んでいます。「子どもたちにいろいろな経験をさせたい。屋内だけでなく、外での遊びもすることで、心身共に健康になる」と鈴木副園長は語ります。学研教室も「いろいろな経験」の1つ。「『学ぶ喜び』や『自信を持つ』ことをはぐくむ学研の基本理念は、自園の方針と合致した」と鈴木副園長は、学研教室を開室した8年前を振り返ります。
当時、年々子どもが減少する中で、同園では空き部屋の有効活用に頭を悩ませていました。それも開室のきっかけとなったと言います。地域に根差した園づくりは当時からしており、お稽古事の場所としても認識されていました。園内にある学研教室は、児童・生徒の保護者にも安心の存在。さらに、普段から教育・保育の現場に関わる保育者が「先生」となるため、より教育的なサポートが受けられると好評です。こうした取り組みは園だからこそできることであり、これから求められる新しい園の在り方なのかもしれません。
子どもの「考える力」をはぐくむ
学研教室で大事にしているのは、子どもの考える力をはぐくむこと。算数と国語を同時に平行して学習する方法により、道筋を立てて考える力と、すべての学力の土台となる読む・書く力をはぐくみます。先生が1人ひとりの学力に応じて、多種多様な学習プリント教材から最適なものを差し出し、サポートをすることで、自分から進んで学習する姿勢や能力を育てていきます。
プリント教材の出来に応じて、同じ教材や別の類似する教材を差し出すことはよくあること。これについて鈴木副園長は、「やり抜く力、つまり忍耐力を培うことにつながる。大人になって、くじけそうな場面でも、何度でも挑戦する気持ちが大事。その非認知能力を養うことにつながる」と語っています。
学研教室を運営する先生のための研修は、全国7つの支社と72の事務局で実施されており、身近に、学びを支える手法や教材の理解を深められます。そうした先生への手厚い支援が、学研教室を通して、子どもたちの考える力をはぐくむことにつながっています。