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目次
- 1.保育者向けスキルアップセミナーとは
- 2.管理職向けセミナーは、不適切保育・ハラスメント防止を考える場に
- 3.藤枝市の取組み
保育者向けスキルアップセミナーとは
2022年度はコロナが収束しない中、様々な保育現場での事件・事故がニュースとなり、これまで以上に保育職場を見直す重要性が高まりました。こうした中、静岡県藤枝市では、保育士等の働きやすい職場づくり事業の一環としてセミナーを企画。境遇が近しい市内の各園の保育者や園経営者の皆さんが共に学び、語り合いながら、働き続けられる職場づくりを考える場をつくりました。
講師は黒澤祐介先生(大阪青山大学 准教授)。1・2日目の若手・中堅保育者は、キャリアの描き方や後輩の育成方法などを学び、身近な仲間同士でお互いの悩みや園の課題を共有しました。
大阪青山大学 子ども教育学部
黒澤 祐介先生
専門は社会福祉学、保育学。保育カンファレンスや保育者の同僚性の形成を研究している。藤枝市保育士等の働きやすい職場づくり事業の監修も務める。
管理職向けセミナーは、不適切保育・ハラスメント防止を考える場に
3日目の管理職のテーマは不適切保育やハラスメント防止。黒澤先生は「保育者不足と配置基準の脆弱さが保育の質を下げてしまっている。これらの改善は引き続き喫緊の課題」とした上で、「個人が起こした問題や人手不足が理由ということで終わりではなく、不適切な行為が生まれてしまう現場の課題に向き合い、保育者の資質能力の育成や働き続けられる職場づくりに取り組むことも保育界の責務」と強調しました。
黒澤先生によると、働き続けられる職場の条件は下図の4つ。まずは若手保育者のメンタルサポートや勤務体制の見直し、不適切保育・ハラスメント防止への啓発など園内でできる対策をし、かつ他園や行政が連携しながら休暇を見据えた人員配置や人材育成に取り組むべきと提言しました。
また、対人援助の側面にも触れられました。「ケアの本質とは相手に寄り添うこと。共有する時間はやりがいになる一方、限りある時間を相手にあげることは時に負担にもなる。今、命を守るためのICT・安全装置の活用が進んでいるが、ケアの部分をおろそかにしないようなICT活用が重要」と黒澤先生。
参加した管理職の受講者からは「『問題を探すよりよい行動を褒めよう』という意見になるほどと思った」「子どもとの正しい関わり方についてチェックリストや研修を実施し、職員の意識によい変化があった」などの声がありました。
藤枝市の取組み
静岡県藤枝市では、平成29年度から地域全体での保育士の確保や働きやすい職場づくりを推進してきました。こうした研修のほか子育て支援員の養成にも取り組んでいます。