脱・マンネリで改善重ねる 避難訓練に「変化」を

東日本大震災の被災地を訪れた際の様子とともに、
災害を忘れず未来に活かす重要性を訴える同社の
西畑専務(上)。
 2022年3月16日、福島県沖で発生したM7.3の地震は、東日本大震災を想起させるものでした。2000年以降、様々な自然災害が多発する中、園の災害対策を支援する㈱ニシハタシステムが、避難訓練セミナーを開催。いざという時、命を守るために本番を意識した備えが重要です。

 IP無線機や緊急地震速報機の提供を通じ、園の災害対策を支援する㈱ニシハタシステムは、「子どもたちを守るための避難訓練セミナー」をオンラインで開催。43名が参加しました。

 「災害は避けられない。災害の経験から、被害を最小限に抑えるための行動を考えて実施することで、生きた避難訓練になる」

 同社の西畑専務は、一般的な避難訓練が毎回同じ手順で行われており、「実際に訓練が機能するか」「 適切な判断ができるか」と不安な保育者が多い現状を指摘。その上で、自身が東日本大震災の被災地を訪れたときに感じた想いや事前防災の大切さを強調しました。

 「日本は自然災害があまりに多く、悪い意味で『慣れ』がある。ただ近い将来、南海トラフなどの大災害は100%に近い確率で起きると予想されている。過去を忘れず現状の避難訓練を見直すきっかけにしてほしい」とセミナーに込めた想いを語りました。

 今回の企画の肝は、「良い避難訓練」。同社営業部長の向さんから、具体的な訓練の事例や実践するためのポイントが紹介されました。

 例えば、「避難訓練のゲリラ開催」。前触れなしの災害に対応できるよう、具体的な日時ではなく実施週のみ告知することで、急に始まる実践的な訓練と計画的な保育を両立できたそう。

 また、「一番めんどくさい時間帯に実施」することも有効です。登降園の時間帯に実施する園では、職員や園児が園に揃っていない状況を想定し、保護者も巻き込んで訓練を実施。時間帯や場所に応じたルールを決めることで、慌てず冷静に動きやすくなったそうです。

 参加者からは、「マンネリ化が課題だったので、見直す良いきっかけになった。これからはあらゆる場面を想定して自園の訓練を組み立てていきたい」「現状の避難訓練の方法が実践とはかけ離れている現状があり、今回の研修で実際に訓練していく上で大事なことを再確認できとても良かった」「避難訓練の在り方として当たり前だけど、実践が難しいと思い、避けてしまっていたことを改めて指摘してもらった。IP無線機の活用を含め、より実践的な訓練に改善したい」といった声が寄せられました。

 延べ500ヵ所以上の園の相談を受けてきた向さんは「失敗した箇所はいざという時も困りうる部分。反省会に時間はかけず、振り返りと課題出しだけで対策案は後日出し合うこと。そうして改善を重ねることで、良い訓練や自園に合った災害対策になる。主体的に考える力がつく職員が増えるのも取り組みのメリット」と実践のコツを伝えました。

予測不能の自然災害に備えて

同社が園の声を集めて制作
避難訓練での工夫事例集

 セミナー後半では、「停電時や通話規制時の連絡手段は?」「園外で離れてしまった時やケガ人などの応援要請は?」といった、災害時の館内放送や園外避難時の連絡手段に関する不安に対し、安否確認や職員への一斉連絡ができる、IP無線機を活用した園の声が紹介されました。

 訓練に使っているという園からは、「判断に迷った時に瞬時に連絡を取り合うことができ安心」という声も。IP無線機を活用している園の多くが、災害時への備えだけではなく、日常業務における職員同士の情報共有ツールとしても役立っているといいます。

 いざという時に、園児や職員の安全を守るために。IP無線機は、日頃の業務改善と災害対策を両立する一助となっているようです。

 同社では、IP無線機の活用事例集や避難訓練の工夫事例集の提供のほか、IP無線機の無料貸し出しを実施中。自園に合った活用方法などご相談もお気軽に。

株式会社ニシハタシステム(大阪府)


 「当たり前の防災を体現する」を理念に、園の災害対策や情報共有ツールとして、IP無線機や緊急地震速報機を提供し、園の災害対策を支援している。IP無線機は全国1,300園以上の園で活用されている。

執筆者
芦川桃香

取材・執筆を担当。地方IT企業の広報目線で、地元企業の採用活動やオンライン配信などを支援。

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