最新の脳科学×伝統的な育児の知恵①「久保田式育児法が保育現場で選ばれる理由」

認定こども園米沢幼稚園(山形県)は、2018年4月から久保田式育児法を導入しました。井上征子園長と大山順子先生に導入の経緯について伺いました。

導入のきっかけは?

 当園には、「知恵のある子を育成する」という教育目標があります。何事にも興味関心を示して楽しめる子には、「自分で疑問を持って、好きなことを見つけ、がんばる力」が自然と身に付くもの。「どういう大人に育ってほしいか」という願いを込めて保育をするという私たちの理念と久保田式育児法はぴったり合っていました。

 久保田式育児法は、脳科学に基づいた育脳プログラム。記憶力・思考力・判断力といった考える力に影響する「前頭前野」を鍛えることで、自発的に考え、行動し、問題を解く力をもった人へと成長させるための土台を築くことを目的にしています。「『テストで点が取れる』などの勉強が得意な人」ではなく、「自分で考える力を持った賢い人」を育てるという点に共感し、取り入れたいと思いました。

保育でどのように実践していますか?

 0歳児から5歳児の全学年において、指先を使う紐通し、運筆などの新カリキュラムを導入しました。また、椅子の座り方、箸の持ち方、ハサミの使い方という基本的な動作や、ランニングや散歩など、何気ない遊びや行動も、「育脳」という視点での重要なポイントを再確認しています。

 フリープレイの時間も、大きな積み木を利用した空間認知や仲間集めカードなどを、ゲームとして取り入れています。特に、仲間集めカードは、子どもたちが大好きな遊び。様々なカードを名前、色、形、用途により分類し、新しい仲間を考えたり、「仲間外れがない」ということまで発見したりと、正解のないゲームに保育士も子どもたちも楽しんで活動しています。

子どもたちに変化はありましたか?

 ものを書いたり作ったりすることを以前よりも好んで行うようになりましたし、両手を器用に使えるようにもなりました。姿勢を正して座ることで、集中力も身についたと思います。リボン結びなど、「難しいかな」と思われることにも、自分でやってみようとする姿が見られるようになりました。お家の方々からも褒められてますますやる気になるようです。「ほめる」「撫でる」ことでドーパミンが出て快感が得られ、やる気が出てくる、これが前頭前野をよく働かせてくれるという、久保田競先生のお話の通りだと思います。「子どもの力を侮るな」という言葉が胸に響く育児法で、将来が楽しみです。失敗を恐れず意欲的にアイディアを出せる子どもになってほしいです。

執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

注目の話題