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この記事のポイント
- 満3歳入園を見据えた2歳児の定員が拡大傾向。未就園児教室も0~2歳が中心に
- 会員制子育て広場の好事例「せいか幼稚園 子育てサロンマミー」
- 複雑化する運営体制。課題となる「採用」「組織づくり」
入園の低年齢化。1歳児に向けた活動の強化が重要に
園の経営コンサルティングを行う石田敦志さんによると、入園の低年齢化にあわせ増えているのが下図のような受入体制だといいます。
例に挙げたのは幼稚園。共働き世帯の増加から預かり保育を行うようになり、預かる年齢も低年齢化。新たに乳児保育の機能を提供するために、こども園に移行したり、一時預かりのしくみを設けたりするなど、3号認定児の受入体制を整える園が増えているそうです。教育については、満3歳入園を見据えた2歳児の定員が拡大傾向にあり、あわせて未就園児教室も0~2歳が中心になっています。
しかし少子化や働く女性が増えたことで満3歳入園も集まりにくくなっているのが実情。石田さんは、「入園のタイミングが1歳に移行しつつある。3号認定ではない子どもも対象にできる一時預かりの機能を使い、1歳児に向けた活動の強化が重要になる」といいます。
園経営や園児募集を支えるポイント「会員制子育て広場」
その手段として石田さんが推奨するのが、「会員制子育て広場」です。会員登録した未就園児親子が利用できる子育て支援のしくみで、石田さんは「園経営や園児募集を支えるポイントになる」と断言します。
その好事例として挙げられたのが、前述の体制のモデル園でもある幼保連携型認定こども園せいか幼稚園(奈良県)の子育てサロンマミーです。1日8組限定で、平日9時30分~11時30分にサロン専用の部屋を開放。専任の職員を配置し、子どもの発達に応じたおもちゃで遊んだり、子育ての情報を幅広く知ったりできる場を提供しています。現在は親子400組が登録し、その数は同園が関わる0~2歳(2歳クラスやプレ教室、小規模保育所、3号認定児等)の人数を超えます。
秘訣は、園と子育てサロンとの関わりを持たせること
石田さんはサロンの魅力を「幼児教育につなげていくプログラム」「環境」「人」と分析。幼稚園と子育てサロンとで分断するのではなく、サロンから入園した子どもたちの成長の姿を園の先生とサロンの担当者とで共有したり、サロンに来る親子と園の先生が交流したりと園との関わりを持たせることがカギと語りました。
同園では、「自分以外はお客様」という行動指針のもと自然と挨拶や会話が交わされるそう。そうした心地よい接遇によってつくられた空間に子育て支援プログラムが加わったことが人気の理由となったようです。
理念を共有し、対話する時間を
できるだけ長く、地域の子育てと教育を支える園づくりが求められる今、課題となるのは「採用」「組織づくり」です。
「運営が複雑になる中、今の組織形態で理念を実現するのは困難。業務ごとに専任チームを設けて連携して子どもを育てる組織づくりが必要で、理念の共有が一層大切になる」
ぜひ取り組んでほしいと石田さんが挙げたのが、理念を軸としたテーマで実施する対話。「『幸せ』とはどういう幸せ?」などについて一人ひとりが考えを発表し、それらを融合させながら思考を磨く試みです。
「今は開園時間も長くなり、対話や研修の時間が取れない園も多い。でも、それをそのまま放っておくと人間関係が希薄になり、チームワークがない状態になってしまう」と石田さん。対話や研修のために配置を増員する園もあるそうです。
理念を実現するための景色あわせに働き方改革は必須。それは同時に、貧困化や戦争などの社会不安の増大で高まるだろう「幼児教育への期待」に応える備えになると教えてくれました。
学園経営コンサルタント 石田 敦志さん
三つ子の父として壮絶な子育てをしていたとき、出会った幼稚園の先生の言葉に救われた経験から現職に。園の経営コンサルティングや教職員育成研修を行う。
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