「ソビーゴ」を教具に活用 筋道立て、考える力を

(上)自分たちの考えたプログラムで目的地にたどり着けるかをモニターで確認/(下)リアルなブロックが子どもたちの興味関心や想像力を高める
 小学校でのプログラミング教育必修化をきっかけに、認定こども園愛知国際プリスクールは2022年4月、プログラミング教材「ソビーゴ」を4歳・5歳クラスに導入。狙いや自園ならではの活用法を取材しました。

 愛知国際プリスクールは、愛知国際学園が運営する認定こども園です。「世界とつながる子どもたちへ」を教育理念とし、日常会話はすべて英語。日本のマナーや思いやりを大切にしながら、豊かな知識や感性を育む独自のイマージョン教育を実践しています。

「ソビーゴ」で、楽しみながらプログラミング

 そんな同園が注力している分野がプログラミング教育です。2020年に人型ロボット「Pepper」を使ったプログラミング教育を導入したことを機に、子どもたちがさらに関心をもって取り組めるカリキュラムを模索。2022年4月には、4歳・5歳クラスを対象にプログラミング教材「ソビーゴ」も導入しました。

 「ソビーゴ」は、右・左・上・下など記号化されたコマンドをデザインしたブロックを用いて、視覚的にプログラムを組むビジュアルプログラミング教材。文字は使われておらず、アイコンのみで動きを指示できるため、子どもたちにもわかりやすく、楽しみながらプログラミングを学習できることが特徴です。カラフルで楽し気なデザインは遊び心もくすぐります。

 この日の教室では、全20回のカリキュラムのうち、マップ内に記された複数の目的地へ行くプログラムを組むことに挑戦。4歳児は2人で1台、5歳児は1人1台のタブレット端末を使い、キャラクター(ソビーゴ)が進むルートを考えます。

 「ここにいるお姉さんに会いに行こう! 次はどうしたらいい?」「上に進む!」

 授業では、先生が進む方向や進むマスの数、ブロックの色を子どもたちに問いかけながら、ホワイトボードにマグネットブロック(※園で制作)を貼り付けていきます。その後、先生が操作するアプリの画面をモニターで見ながら、思い通りに目的地にたどり着けるかを確認。最後に自分たちのタブレットで動きを再現します。

 「見て、実際にやってみる。ソビーゴに限らず、反復を大事にしている」と語るのは水野理事長。各年齢の集中力に合わせた時間設定をして、「もう少しやりたい」という気持ちを残しておくようにすることで、次にチャレンジする意欲につなげているそうです。

 「ソビーゴは、論理的に物事を考えながら問題を解決していく力を伸ばす一つの教具」と導入時の思いも教えてくれました。

基礎概念の育みがベースに

理事長の水野千夏先生

さらに、幼児期にプログラミングに触れることの大切さについて水野理事長は、「経験することによって広がる世界観」だと語ります。

 「ICTやプログラミング、人型ロボット、これから必要とされるものに慣れていける環境はとても大切。見て知って、経験を積んで、慣れたりできるようになったりしたら、そこからいろいろな経験・知識を積み重ねていける」

 一方で、その前提として重要となるのが、日々の基礎的な教育だといいます。

 「色や形、数といった基礎概念が日々の教具や身近なものを通して身についているか。たとえば、〈一個の物体〉と〈数字の1〉というのは周りの大人が結びつけてあげない限り、子どもは別のものとして理解している。日常の中で育む基礎概念があってこそ、こうした教具が活きてくる」と水野理事長。

 ソビーゴ導入から約半年。日常で育まれる基礎概念と、プログラミングを通して育まれる論理的思考力と問題解決力をどう結びつけていくか。さらなるアップデートを追求しています。

愛知国際プリスクール(愛知県)

 日本の保育・教育を英語で学ぶイマージョン教育を行う。発達にあわせた英語・知的・芸術・運動能力プログラムの他、プログラミングなどの新しい教育も取り入れている。

執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

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