NPO主催の環境教育プログラムに密着 
降園後は「里山探検」 素の自然に身おいて

「苔は滑りやすいから気をつけてね!」。サポート会員と職員が見守る中、1時間半たっぷり里山あそび。この日は、川に棲む小さなお魚に遭遇!
 幼少期における自然体験の場をいかにつくるか。発達段階に合わせた環境教育を行う認定NPO法人しずおか環境教育研究会(エコエデュ)を訪ね、年中・年長児対象のプログラムに密着。フィールドは自然豊かな里山です。

降園後は有度山で自然遊び

 午後2時半、静岡市にある有度山に集ったのは、降園後の年中・年長児14名。有度山は静岡駅から車で約20分の場所にある県営林で、四季折々の植物や生き物がのどかに暮らす野の山です。

赤ちゃん抱えた親ガニに興味津々

 この日行われたのは、年中・年長児対象の環境教育プログラム「里山やっほ」。降園後の子どもたちが有度山に集い、虫とりや川遊び、火おこしなどの様々な遊びを1年を通して行います。

 「このカニ、赤ちゃん抱えてるよ!」「こっちはお父さんかな?」

 この日は、川でカニの親子を発見! 自分の指先よりも小さな赤ちゃんガニに子どもたちもくぎづけです。

日常性と主体性を大切に、子どもたちの成長の土台をつくる環境教育

 自然の中での遊びについて鈴木玲子事務局長は、「大人がつくったものでも用意したものでもない。何が起こるかわからない〈自然〉の中で何を感じ、どう遊ぶか。それが成長の土台につながっていく」といいます。

 エコエデュの環境教育プログラムの特徴は、日常性と主体性。毎週・毎月と通う場所だからこそ、生き物たちの生き様や植物の移ろいに自然と子どもたちは気がついていくそうです。

 さらに特徴的なのは、過去にプログラムの参加経験があるお母さんたちとともに、内容を企画運営していること。「自然に関わる環境を子どもたちに届けたい」と年々輪が広がっているそうです。

 近年、リスクや環境不足により、園での自然体験の機会は失われつつあります。一方で、同法人のもとには園からの研修依頼が増加するなど明るい変化も。「自然とともに未来へ」。NPO・保護者が手を取りあい進めてきた環境教育に、新たな兆しが生まれています。

認定NPO法人しずおか環境教育研究会(エコエデュ)

 「自然の中での教育を通じて失敗・変化の中から自分の答えを追求する人を育てる」をミッションに環境教育を行う。2013年に内閣総理大臣賞、2021年に環境大臣賞を受賞。

自然体験の現状や園庭でできる自然遊びのコツを特設サイトで公開中
執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

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