習慣化から質向上へ 動画配信の本質を

調査期間:2021年3月2日~2021年3月26日
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 動画配信アプリ「てのりの」を提供するパステルIT新聞は、ユーザー園の協力のもと保護者アンケートを実施。コロナ禍の登園自粛を受けて広まった動画配信の実態を振り返りました。

 「毎年6月は父の日に合わせて、お父さんたちが子どもたちの様子を見に来れるような参観日を設けていました。でも、2020年は感染防止のために保護者参観は当面自粛。その時に初めて取り組み始めたのが動画配信でした」

 そう語るのは、認定こども園真学園(新潟県燕市)。同園では残念がる保護者のために、園児全員で「お父さんのうた」を歌った様子を動画で撮影し、サプライズ配信。「参観日よりも子どもたちの自然な表情を伝えられる」と、その後の園内イベントで動画を活用するようになりました。

 さらに、園の動画配信はそうした日常の保育活動の配信だけでなく、長期休暇における「オンライン保育」にも広がりました。

 学校法人長友学園認定こども園杜の光 大沢幼稚園(神奈川県相模原市)は、自宅でできる体操や園児が収穫したブルーベリーを使ったジャムづくりなど、日頃から親子が自宅で楽しめる動画を配信。保護者の満足度も高く、園児にとっても画面に映る先生を見ることが安心感につながることから、その後の長期休暇においても季節の歌や遊びを配信し、継続的なオンライン保育を実現しました。

 このように、最初の緊急事態宣言から1年が経ち、園における動画活用がコロナ禍もその後も変わらない「新たな日常」になりつつある中、動画配信アプリ「てのりの」を提供するパステルIT新聞(静岡県)は、ユーザー園の保護者475名を対象にアンケート調査を実施しました。

 同調査によると、動画の視聴は、「親子・夫婦・家族と一緒に見る」が76%、「ひとりで見る」が24%であることがわかり、9割が「動画をきっかけに子どもと会話する」と回答するなど、親子コミュニケーションが促進されていることがわかりました。

 『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)の著者であり、NPO法人親子コミュニケーションラボ代表の天野ひかりさんは、親子のコミュニケーションについて、「子どもの自己肯定感を育むのは近くにいる大人の毎日の言葉かけ。子どものありのままを認め、力を引き伸ばすコミュニケーションが大切」と語ります。

 このように園と保護者の接点が日常的に増えることは、子育て支援にもつながると期待が高まっています。

保育の質向上と子育て支援に

ユーザー園の声をnoteで公開中

 動画の視聴頻度は「週に数回」「月に数回」が約7割。「てのりの」の場合、園が動画をアップロードすると保護者のスマホに自動通知が届くため、より手軽な情報発信ができるようになります。

 ユーザー園のサールナートこども園(佐賀県神埼市)は、「動画は写真よりも育ちの前後を伝えられる」と毎月発行していた『クラス新聞』をなくし、園の情報発信を動画に集約しました。

 多くの園にとって初の試みだった動画配信は、コロナ禍の1年を経て、今や当たり前の日常として組み込まれました。そうした変化を受け、ユーザー園の先生が語るのは、「いかに動画を保育の質向上につなげるか」です。

 子どもが発した言葉に対して保育者がどのように応答し、その結果、子どもの行動がどのように変わったのかを職員同士で振り返るなど、動画配信は習慣化を経て、次なるフェーズに移行しています。

てのりの/パステルIT新聞

園のICT化支援を目的に園児管理システムや動画配信アプリの開発やWebサイト制作、新聞による情報提供を行う。


執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

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