創作メインのICT教育カリキュラム 園児の作品が泳ぐ水族館

園児たちの作品が「キッツ水族館」で泳ぎ出す

 国内外で人気の知育アプリメーカー、(株)スマートエデュケーション(東京都品川区)は、保育・教育関係者や有識者を交え、ICTを活用した幼児の新しい教育を研究してきました。それに基づき、園向けICT教育カリキュラム「こどもモードKitS(キッツ)」を開発。2014年より全国の園に提供しています。

 今年度、このKitSに新カリキュラム「みんなで水族館をつくろう」が追加されました。これは、こどもたちの描いた生き物が水族館アプリ内を泳ぐという内容で、デジタルと創作を融合したカリキュラムです。生き物はサカナ、カニ、カメなどの7種類。各専用台紙に色や模様、表情などを描いた後、アプリで撮影して取り込みます。スマートエデュケーションの代表取締役、池谷大吾氏は、「内容は良いがすぐには導入が難しいと悩む園があった。そこで、iPadが1台あればできるカリキュラムを用意し、気軽に始めてもらいたいと考えた。また、先生たちが得意としている創作をメインとし、ICTを意識せずに、従来の教育活動の流れで始められるようにした。ICT教育をハイエンドなものではなく、ごく当たり前の活動として定着させるために、この新カリキュラムが入り口になれば」と話します。アプリをインストールすれば、保護者のスマホでも水族館を楽しむことができます。友だちの作品も含めて親子で鑑賞できることから、他者の存在の影響力やコミニュケーションの広がりなども期待されています。

山内祐平教授

 教育工学・学習環境デザインの国内第一人者であり、東京大学大学院情報学環の教授やNPO法人エデューステクノロジーズの代表理事などを務める山内祐平教授は、スマートエデュケーションが率いる研究プロジェクトでも中心的存在です。山内教授は、「変化する時代を生き抜くために必要な『21世紀型スキル』や『非認知能力』という言葉そのものは浸透してきたが、日本の教育現場での実践はまだまだ遅れている。OECD(経済協力開発機構)が発表したPISA(生徒の学習到達度調査)によると、日本の15歳が1日に学校外でインターネットを利用する時間や、余暇や宿題にICTを活用する時間は他国に比べて極めて短い。グローバル化と高度情報化の時代に活躍できるイノベーション人材を育てるためにはICTを活用したアクティブ・ラーニングの実践など教育のバージョンアップが必要だが、文部科学省の調査ではICT活用を指導する能力があると回答した教員は66%程度だった。ICT活用を情報の閲覧や収集に終わらせず、多様性を受け入れながら、ときにぶつかりあって新しいものを生み出すことを恐れないチームワーク能力を養う段階まで進めること。そのためには、こどもたちの幼児期から生涯学習までを見通し、従来の教育のさらに上を目指すことが大事」と語ります。

池谷大吾社長

 年に1度、研究の成果を発表する「21世紀幼児教育カンファレンス」。今年は11月18日(土)に決定しました。山内氏、池谷氏をはじめ、「『学力』の経済学」の著者である中室牧子氏や、野村総合研究所の寺田知太氏も登壇。AI時代を生き抜くために必要な力をいかに育むか。その考え方と実践例が共有されます。新カリキュラムの無料モニター園も募集中。カンファレンスやモニター園募集の詳細はWebサイトで。

▼「こどもモードKitS」http://kdkits.jp/

執筆者
八木侑子

2・4面担当のパステルIT新聞編集スタッフ。ライティングだけでなくデザインも担当しています。

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