「未来をつくる子どもたちに必要な遊びや学びの場をつくらなければならない」。石戸さんを取り巻くのは、この考え方に共感した教育関係者、博物館関係者、アーティスト、民間企業、地方自治体など様々。広がる人脈が新しい活動を創出しています。そして、それは子どもたちが楽しく遊びながら、古きよき、あるいは最新の「本物」を、「プロ」から直接学ぶ機会に発展しています。
「これまではより多くの知識を得ることに評価の力点が置かれていた。しかし、情報があふれる社会では、多くの情報から必要な情報を選び、再構築し、新しい価値を生み出す力が求められている。コンピュータには決して代替できない、創造力とコミュニケーション力が今まで以上に大切。それを学ぶ場と道具を提供したい」と石戸さん。近著『子どもの創造力スイッチ!』では、世界の先進的な事例と、これまでの活動が紹介されています。また、その世界を目の当たりにできるのが8月の「ワークショップコレクション」なのです。
子どもたちを楽しませる
幼稚園や保育園でもタブレットコンピュータの導入事例を見聞きするようになりました。「小学校とは違い、幼稚園や保育園では利用頻度や費用対効果を考えると、必ずしも1人1台でなくてもよい。例えば、クラスにひとつのタブレットを用意し、大型テレビやプロジェクターに接続して、大きな絵本を使った読み聞かせとは少し違ったインタラクティブな読み聞かせを楽しむのもいい。デジタルネイティブである現代の子どもたちを楽しませるための工夫として、粘土やクレヨンなどと並べて、自然にデジタルな道具も取り入れてみては?」。石戸さんはこのように語ります。
NPO法人CANVAS 理事長/(株)デジタルえほん代表取締役/慶應義塾大学准教授。東京大学工学部卒。MITメディアラボ客員研究員を経てCANVASを設立。起業し、えほんアプリの制作も開始。総務省情報通信審議会委員。一児のママ。