この記事のポイント
- 裸足保育中の子どもの足を守るため、遮熱性に優れた天然コルクの床に
- クッション性・透水性にも優れ、転んでも怪我しない
- 木を伐採せず生産できる、人にも地球にもやさしい製品
勝愛幼稚園では、園全体を一つの街並みと捉え「勝愛タウン」と呼んでいます。グラウンドや土山、芝生園庭、クライミングウォール、森、橋などがあり、子どもたちが成長に応じて自由に動き回って遊びます。
街並みの一つ「おひさまロード」は園舎をつなぐ全長60メートルの道。年少~年長児まで、サーキットやごっこ遊びをする園児で賑わいます。子どもたちはみんな裸足。真夏でも床が熱くならないのは、天然コルク舗装「ドリームコーク」が使われているためです。
従来のコンクリートの床は日射で高温になり、マットを敷いたり濡れタオルを置いたり対策が必要でした。そこでコンクリートの上にドリームコークを舗装。主原料のコルクは微細な気泡の集合体のため熱を伝えづらく、炎天下でも表面温度を40℃台に保ちます。
「『地球沸騰』といわれた異常気象の夏にもかかわらず、今年は園児がおひさまロードを通りたがらないということがなかった。クッション性も想像以上。転んでも怪我しない」と語るのは同園の大澤孝次園長です。
コルクは空気が充満した低密度の細胞組織のため転倒時に衝撃を吸収する特性があります。透水性も高いため「廊下に部分的に水がたまることもなく、表面がすぐ乾くので、滑って転倒する心配もなくなった」といいます。
園の外観を形成する廊下や広場などの床が、従来のねずみ色からコルクの自然な風合いの色になり、温かなイメージが大澤園長も気に入っているそう。
「合成物質ではなく自然のコルク素材だから、未満児も安心して床の上で遊べる」と多くの子どもが集う場所に使用する素材としても安心感があるといいます。
さらに「表面がつぶつぶ・ざらざらとしていて足触りがいい。足裏への刺激が土踏まずの形成にもいい影響があると思う」と大澤園長。裸足保育の一助にもなっているようです。
また、ドリームコークに使われるコルクは、二酸化炭素吸収量が高いコルク樫の樹皮のみを使用しています。樹皮は数年すると再生するため、木を伐採せず生産できる、人にも地球にもやさしいサスティナブルな製品です。
およそ360㎡という広範囲の施工にかかった期間はわずか1週間。短期間で工事が済むことや、ほかの景観舗装に比べて経済性にも優れていることも、ドリームコークの強みです。
様々な場所をつなぐ温かい広場に
「強くはばたけ 大きくのびよ」の教育目標のもと、随所に創意工夫をこらした勝愛タウンで育つ園児たち。広い園内の移動を日々重ねることで自然に体力づくりをしています。夏は運動場でしかできなかった遊びも、遮熱効果や弾性に優れたドリームコークで安全に遊べる場所が広がりました。
「ドリームコークが保育室と保育室をつなぐ温かい広場になっている。ブロック遊びや車遊びなど、様々なことを共有できる場所や異年齢交流の場になっていくと思う」と大澤園長。そして「現代の家庭では自宅で自由に動き回れる空間がないことが多い。安全を確保した自由な空間で子どもたちが1日楽しく生活できるようにしたい」と園づくりへの想いを語りました。
学校法人勝愛学園 勝愛幼稚園(愛媛県)
0~5歳児まで約530名の園児が通う。環境を生かし、戸外で遊ぶことや家庭ではできない様々な活動を思う存分体験できるよう保育実践に取り組んでいる。
https://www.shoai.ed.jp/