保育の未来を考える14のセッション
厚生労働省の調査によると、2021年4月の待機児童数は5634名と、調査開始以来、3年連続で最少を記録しました。全国の市区町村のうち8割を超える市区町村で待機児童数が0名となるなど、待機児童問題の解決がそう遠くない未来に見えてきました。
そうした中、保育や幼児教育、子どもを取り巻く社会の未来を考えるために開かれたのが、あたらしい保育イニシアチブ2022です。目指すのは、保育関係者が既存の制度や事業にとらわれず、未来の保育ビジョンを共に描き、喜び合い、議論する場をつくること。その思いのとおり、計14のセッションでは、園経営者や大学教員、ITや製造小売など異業種の企業、映画監督、官公庁など、多様な登壇者が集いました。
メタバース時代の保育とは?
話題の最先端テクノロジー「メタバース(仮想空間)」と、直接的・具体的経験が大切にされる保育をかけあわせた異色のパネルディスカッションでは、メタバース事業の起業家であるoVice㈱のジョン・セーヒョン氏と、全国で約70の保育施設を運営する社会福祉法人檸檬会の青木一永氏が登壇。「メタバースによって保育はどう変わるのか?」といったテーマで対話を繰り広げました。
メタバース時代についてジョン氏は、「メタバースは物理的に体験できないものを体験するというシーンで効果的。ただ、それには現実世界での原体験やアイデンティティを育むことがより必要になる」と強調。青木氏も「好奇心や主体性といった内面を育むことが大事。これは遊びの中でこそ芽生えるもの」と保育の役割を語りました。
バーチャル空間でベテラン保育士の視点をトラッキング。新人教育にも
さらに、保育者研修にメタバースを活用した例として、バーチャル空間に生成した保育室でベテラン保育者と新人保育者の視線をトラッキングし、その違いを新人研修に活かすという具体例を紹介。参加者から驚きの声が挙がりました。
多角的に見ることで得られる新たな視点。保育の未来を考えようと、続く開催に期待が寄せられています。
あたらしい保育イニシアチブ2022
保育関係者が既存の制度や事業にとらわれず、未来の保育ビジョンをともに描き、議論する場。保育関係者が実行委員会を立ち上げ、2022年8月に第1回を開催した。