保育者の労働環境や処遇を改善しようと、国が推進している処遇改善制度。しかし、処遇改善等加算の手続きは、国や自治体が定めるルールに沿った就業規則や賃金規程を制定しないと運営費や補助金をもらい損ねる可能性があります。
保育制度は煩雑で、加えて自治体特有の制度があるため、仮に処遇改善制度等の保育制度に明るくない方が作成した場合、制度に沿った規定がされない可能性があります。その際に課題となるのが、運営費や補助金の請求事務を専門とする行政書士との連携が難しいことです。法律により独占業務が規定されているため、「処遇改善等加算などを含む運営費に関する行政手続きは行政書士」「社会保険手続き等、労務分野は社労士」というように、両者は密接に関係するにもかかわらず、明確な線が引かれています。情報共有の不足から、本来とれるはずの加算がとれないケースも少なくありません。
行政書士と社労士の連携体制で、保育運営を支援
そうした中、これまで保育分野を専門に運営支援を行ってきた行政書士法人ふたば、ももとせ社労士事務所は共同で保育運営を支援する事業を立ち上げました。その内容は、園の問い合わせに対し、自治体の申請書作成や実績報告書の作成、在職証明書の代理取得は行政書士法人ふたばが、処遇改善に適した就業規則の作成や保育者の労働環境を整える処遇改善相談、賃金規程に沿った給与計算の管理はももとせ社労士事務所が行い、両者が情報共有をしながらより安心感のある園経営や業務改善を目指すもの。「行政書士と社労士のどちらに相談したらよいかわからない」といった園の迷いも解消されます。
行政書士の久保先生は、「手厚い配置をすると職員分の加算がつくような自治体特有の制度もある。しかし要件が難しく、就業規則にも関わるため、園に特化した社労士さんと組むことは必須。定員割れに悩む園が増えるなか、園が継続して運営できるような体制を目指したい」といいます。社労士の瀬川先生は、「他園の事例や行政書士さんと連携しているからこそ知りえる情報を提示していきたい」と教えてくれました。
行政書士法人ふたば(東京都)久保 祥子先生
子ども・子育て支援専門の行政書士。各種行政手続きの他、事務負担軽減の支援も行う。
ももとせ社労士事務所(神奈川県)瀬川 亜紀先生
保育専門の社会保険労務士。就業規則や労務に関する相談、給与計算や各種届出を支援。