モノクロからカラーへ
主に小中学校や高校など教育現場で活躍するデジタル印刷機「リソグラフ」を製造・販売する理想科学工業株式会社は、2003年、高速カラープリンター「オルフィス」を発売しました。インクジェット方式のオルフィスは世界最速の印刷速度を誇り、ランニングコストが安いことが大きな特徴。カラー価格は当時の一般的な価格の約10分の1でした。以降、「カラーで見やすい園だよりをつくりたい」「園の理念や園児の表情を豊かに伝えたい」という園に徐々に浸透し、それまで主流だったモノクロ印刷機からカラープリンターへの移行が進みました。
さらに、オルフィスは印刷時に熱を使わないため用紙の変型が少なく、封筒やはがき、八つ切り画用紙など幅広い紙に対応。導入園では、節分行事で使うお面を印刷したり、クリスマスの長靴の輪郭を印刷し、ハサミの練習教材をつくったりなど豊かな活用が光ります。ある園では、装飾が施された罫線を印刷した様々なサイズの賞状の台紙をストックしておき、行事の際に内容を変更した本文のみを印刷するなど効率化を図っているようです。
手間のかかる製本作業も自動化で時間短縮
さらにうれしいポイントは、入園説明会や行事プログラムなど複数ページある資料を自動で製本できること。冊子を印刷機で作成しようとすると、用紙の差し替えや印刷後の丁合作業が発生しますが、オルフィスの場合、フィニッシャーを付けることでホチキス留めまで自動化できると好評です。
「現場の先生方にとって一番のメリットは時間短縮」と語るのは、同社営業統括部の瀧本さん。園における印刷業務の実態について、「5年前に訪問した福岡市の保育園はとにかく先生方が忙しく、園内を走り回っていた。園児は約300名。忙しさの合間を縫って、行事の時の子どもたちの写真を近くのプリントショップに印刷しに行くことも。オルフィス導入により、その工程が園内で完結すると喜んでいただけた」と一例を教えてくれました。
園と地域をつなぐ新たな情報発信を
同社サイトでは、園だよりや教材づくりに役立つテンプレートを無償提供しています。瀧本さんはその想いについて、「保育者は身近な職業である一方で、人手不足が課題となっていることも確か。印刷業務にかける時間短縮により、子どもと向き合えたり、先生方がしっかりと休めたりするような環境づくりを支援したい」と語ります。同じく営業統括部に所属し、二児の父でもある片岡さんは保護者の立場として、「モノクロの園だよりでは情報も伝わりづらい。離れているからこそ知りたい子どもの情報。そうした大切な情報を伝えるための園だよりにかける費用を削減してしまったと見られてしまう。気軽にカラーを使ってもらえるよう後押ししたい」と教えてくれました。
次のステップは、職員の負担軽減、発行物のカラー化を複合し、今までできていなかった情報発信ができるようになること。「地域に向けたバザー・イベントの案内など、園と地域をつなぐ活動に拡げてほしい。園と保護者だけが園児の成長を見守るのではなく、地域全体で園児の成長や安全を『見守る目』を醸成したい」と瀧本さん。情報発信の業務改善の先に、園の新たなあり方を見据えています。