備えておけばよかった 保育目線で見る能登地震

  • PR
 2024年1月1日、最大震度7を観測した能登半島地震。発災当時のお話とともに、復興に向けた動きと安全管理に取り組む園の声を取材しました。


この記事のポイント

  • 発災から10日。石川県内の保育関係4団体が連携し「オールこども石川」を結成
  • インフラ寸断と通信障害長期化で変わった「備蓄品」「安否確認」に対する考え方
  • もっと活用できたはず。日常利用を想定して導入していたIP無線機の可能性



 発災から10日、泉の台幼稚舎の園長で日本保育協会石川県支部青年部部長の新保雄希さんは、石川県内の4つの保育関係団体と連携し、保育施設を対象とした物資支援や支援金の窓口を一本化する「オールこども石川」を結成。活動から見えてきたのは道路途絶によるインフラ寸断と通信障害長期化の影響。備蓄品や安否確認に対する考え方が大きく変わったといいます。

 「備蓄は10日分は要る。備えたいと思ったのは井戸とマンホールトイレ。被災地でニーズが高かった簡易トイレはストックにも限界がある」。マンホールトイレは自園の敷地内に備えるよう指示を出したそうです。

「オールこども石川」結成を呼びかけた新保園長

 そして、新保園長が「もっと活用できたはず」と強調するのが、災害時も通話規制の影響を受けずに使用できるIP無線機。基地局が停電し広範囲で電話がつながらなくなった今回の状況で、新保園長がよく連絡を取っていた穴水町の先生と連絡が取れたのは発災から1週間後。その先生は電波を拾うために余震が続くなか山を越え、連絡手段を確保していたそうです。

 泉の台幼稚舎では、日頃の散歩や別棟との連絡手段として株式会社ニシハタシステムのIP無線機を導入。しかし、災害時を想定した活用イメージが不十分だったとのこと。「地震が園外保育中に起きていたらと思うと青ざめる。園児や保育者が怪我をして動けなくなる、通信が途絶える、帰り道が安全でなくなる。そうした状況ですぐに管理者とつながれる状態をつくれるのは大きい」と、災害時におけるIP無線機の強さを再認識したそうです。

ボタン一つでつながるIP無線機

思い込みを捨て 知恵を結集する

 日頃から職員間連絡に無線機を活用するみなとこども園の横山千賀子園長は、「はじめは電話があるから要らないと思っていたが使ってみると便利で災害時も役立つ。ICTシステムでの安否確認は通信が途絶えてしまう不安もある」と安全計画の見直しを検討。同園副園長で、オールこども石川の活動で被災地を複数回訪れた横山昌史先生も、「トイレを流せないときも紙おむつを敷けばそのまま捨てられる。被災者の話を聞くと準備するものが見えてくる」と思い込みを捨てる大切さを語りました。

左からみなとこども園の横山千賀子園長、横山昌史副園長
株式会社ニシハタシステム

IP無線機や緊急地震速報機を提供。社員の防災意識向上やより質の高い保育防災に取り組むべく、本訓練にもサポーターとして参加。

執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

注目の話題