低コストで導入・運用
新型コロナウイルスが流行しはじめた2020年4月、なかよし保育園がある静岡県焼津市では、地元の水産会社が水産加工設備のために導入した次亜塩素酸水生成器を使用し、除菌用に効果がある微酸性次亜塩素酸水を市民に無料配布するといった取り組みが話題になりました。
卒園児の保護者からその知らせを聞いた北山茂園長もポリタンクを片手に配布場所に向かったそうです。
「ありがたいことでした。これを日常的に自園でも生成できたらいいなと思っていた」と北山園長。
そうした中、同年7月に導入したのが除菌洗浄水生成器「ミニクローラ」。食塩と水を原料に、電気分解によって電解次亜水と呼ばれる殺菌水を生成する機械です。微酸性次亜塩素酸水よりも塩素濃度の持続性が長く、北里大学環境科学分析センターによる分析においても、インフルエンザウイルスやノロウイルス、食中毒原因菌に対する高い殺菌効果が認められています。
さらに、原料が食塩と水のみであることから1ℓ1円以下で生成でき、食品添加物の殺菌料とされており、安全性が高いことも大きなポイント。塩素濃度は用途に合わせて4段階まで調整可能。手指の除菌は約10分(約50ppm)、机や調理器具、トイレなどの掃除用は約30分(約100ppm)、給食室のスポンジや雑巾の除菌用は約60分(約200ppm)、嘔吐物処理用は約3時間(約1000ppm)で生成できます。
「園内全般で役立っている」と語るのは、小形まさ子主任です。同園では、生成した電解次亜水を非接触型のディスペンサーや霧吹きに入れ、各クラスや給食室、紙おむつの保管場所などに常備。
使い勝手について管理栄養士の石川航大さんは、「今までは次亜塩素酸ナトリウムでテーブルやワゴンを消毒していた。錆びるのを防ぐために水拭きをしていたが、電解次亜水は錆びにくい。何より自分たちで手軽につくれるところが良い」と語ります。
北山園長も、「今や日常の一部。体験・発見・感動の繰り返しの中で子どもは育つ。子どもが挑戦できる環境を整えていきたい」と安心感を実感しているようです。