災害に備える手段として、IP無線機という選択肢があります。(学)バプテスト学園和歌山ひかり幼稚園(和歌山県和歌山市)と(学)富山学園武里白百合幼稚園・第二白百合幼稚園(埼玉県春日部市)では、(株)ニシハタシステムが提供するIP無線機「j.mobile(ジェイ・モバイル)伝」を導入し、日常的に活用しています。
和歌山ひかり幼稚園では、園長や事務長、クラス担任やバス担当の職員に各1台など、合わせて10台のIP無線機を使用しています。「1人だけに伝えれば済むことも、あえて一斉配信をして伝えている。ささいなことでも保育者同士が情報を共有することは大切」と語るのは、久保田みくに園長です。職員からは、「無線機で共有される情報によって、園内全体の様子がわかるようになった」「他クラスの職員との会話が増え、今まで以上に子どもたちの様子や成長を共有できるようになった」「今では、子どもたちの安全を守るため、IP無線機が大事な仕事の道具となっている」など予想以上に満足の声が聞かれ、園務への効果が上がっています。
武里白百合幼稚園・第二白百合幼稚園でも、同IP無線機9台が導入され、バスの担当職員と職員室との情報共有がスムーズになることで、保護者への円滑な連絡が実現できました。「連絡網や園のWebサイトを使った情報伝達では時間がかかり、保護者との行き違いも起きていた。IP無線機であれば、タイムラグがほとんどなく連絡ができるので安心」と富山治理事長は語ります。
このように、防災ツールを日常使いすることで、災害時にも自然と適切な行動ができるようになることが期待されます。
その瞬間に行動できるように
「防災への意識」の啓発を目指し、4年前から20回以上の講演を行ってきた、(株)ニシハタシステムの代表取締役である西畑恭二氏は、いざというときに率先して動き、まわりを守る役割について次のように語ります。「園児たちを守る立場として、先生たちは災害時に『瞬間のリーダー』にならないといけない。子どもたちは訓練通りに身体が動いたとしても、大人たちは先に頭で考えてしまい、それが行動の遅れを招いてしまう可能性がある。いざというときに瞬間的に大きな声が出て、行動ができるように、日常的に訓練をしておくことが大事」。
IP無線機は、災害時の連絡手段として注目されているツールのひとつ。こうしたツールを災害時に活かせるかどうかは、それを全職員がリーダーレベルで活用できるように訓練できているかどうかだと言えそうです。