文部科学省の平成24年の調べで、小中学校の通常学級には発達に課題がある子どもが6.5%(一クラスに二人)存在することが明らかになりました。その数は全国で約800万人。内訳はLD(学習障がい)が4.5%、ADHD(注意欠陥多動性障がい)が3.1%、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)が1.1%とされています。
こうした中、藤枝市では北村正平市長の強い想いもあり、平成26年3月に発達支援の方向性を示した「藤枝型発達支援システムの基本方針」を策定。これまで実施してきた発達支援の現状と課題を明確にしました。
そして、発達に課題がある児童に対して、その段階に応じて一人ひとりの個性と能力に配慮した、「途切れのない発達支援のための体制強化」を実現するために、平成28年度から5カ年の「行動計画」も策定しました。支援の対象は0歳から18歳未満の発達に課題がある児童とその保護者。診断の有無にかかわらず、保健・医療・教育・福祉などの広い領域で早期からの支援を必要とする児童を含みます。乳幼児期から就労期に至るまで、保健・福祉・教育の公的機関や医療・就労などの専門機関の協力を仰ぐ「横の連携」による支援と、年齢に応じた個別の支援情報を継続的に次のライフステージにつなげていく「縦の連携」による支援とを複合的に実施する仕組みを構築しました。
4月1日、福祉センターに移転した「子ども発達支援センター」で所長を務めるのは、長年の保育士経験と人柄が多くの信頼を集める池谷いづみさん。池谷さんは「グレーゾーンの子どもが増えている中、家庭だけでは判断や対処が難しい。気づく・知る・支える・つなげるをキーワードに地域の理解と養育力を高めたい」と語ります。
大人になったときの幸せを
3月26日、行動計画策定を記念して「NHKハートフォーラムin藤枝」が開催されました。早稲田大学教育学部教授の梅長雄二氏は「発達障がいの子どもへの理解と支援」と題した講演の中で、「子どもたちが就職して幸せに自立できることが最終目標。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏、アップルのスティーブ・ジョブズ氏、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏はASDだと言われている。他にも個性を活かして活躍している著名人は多い。発達障がいを持つ人々のハードスキルとソフトスキルを見極め、職業適正に応じた支援を」と提言しました。
また、パネルディスカッションでは『学校コワイ』の著者で発達障がいの子どもを見守る母親でもある、よつばもこ氏が登場。同じ立場の保護者の心をほぐす、温かなメッセージが語られました。まちぐるみでの途切れのない発達支援の実現に向け、藤枝市はこの日、新たな一歩を踏み出しました。