ママの想いに基づく子育てサポート実践 ハッピーを分かち合う関係

静かな住宅地にある瀬名おひさまの森保育園。家と変わらない空間にすることで、子どもたちは伸び伸びと自然体で過ごす。左手前が梅田園長
小規模保育事業所である瀬名おひさまの森保育園(静岡市葵区瀬名)は、静岡市の待機児童対策の一環として平成26年4月に開設されました。園児は18名。9名の職員を笑顔で牽引するのは、3歳の男の子のママである梅田文香園長です。

 瀬名おひさまの森保育園の運営会社は、女性が輝ける職場をつくり、女性を輝かせるための美容やウェディングサービスを提供する女性イキイキカンパニーです。梅田園長は、同社の五十嵐社長に出会い、理念に深く共感し、園長になることを決めました。

 毎朝のミーティングでは、全職員で理念の確認を欠かしません。どういう園、保育士を目指すかを共有しながら仲間の大切さを確認し合います。「ママにとって子どもは宝物であり、人生の一部。でも、まずはママがやりたいことを実現してほしい。そのために必要な情報の提供とサポートをしたい。子どもの幸せのためにはルーツであるママが幸せでなくては」と語る梅田園長。「どんな子育てをしたい? どんな子に育って欲しい? 何を大切にしたい?」何よりママの想いを尊重したいから、対話には時間を費やします。ママがいろいろ話してくれるようになると、子どももよりイキイキ過ごせるから不思議です。集団生活のメリットを活かし、個々の子育てを実践するために助け合う仲間のような感覚で寄り添います。

 開園から半年経った10月1日。連絡ノートに「ハーフバースデーおめでとう」と書いてきてくれたママがいました。サプライズに感動し、急遽カードをつくって配り、みんなでお祝いすることにしました。こうしたハッピーの共有が働くママの1人である梅田園長の心も癒してくれます。

ママが笑顔になれる写真

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写真だよりは発行の都度園内に掲示

 ママとの情報共有は、送迎時の対話と連絡ノート、そして、写真だより発行とアルバム共有ができるサービス「みてみて通信」で行っています。写真だよりは都度作成・掲示し、送迎時の保護者の目を楽しませています。アルバムには保育風景の写真を毎日30~40枚ほど掲載。職場を出る前に閲覧してくれるママもいて、お迎え時には写真の話題で花が咲きます。帰宅後、子どもを膝に乗せて一緒に閲覧するという微笑ましい習慣ができた家庭も増え、親子のコミュニケーションツールになっています。梅田園長は「0歳児は日々の成長が早く、一カ月前の写真と比べて表情の違いに驚く。また、子どもたちが集中して何かに取り組んでいる様子を意識的に追いかけていたが、ママたちはお友だちと楽しく遊んでいる姿も知りたいようだ。友だちとの過ごし方がわかることで、その子どもやママとも関わるきっかけができている」と語ります。

 言葉では伝えきれない空気感を伝えてくれる写真は、ママたちを笑顔にする効果も絶大。「子育て支援の世界は広い。働くママをいろんな角度からサポートし、子どもたちが自立するまでおつきあいできれば」。梅田園長とママたちの関係は、卒園後も続きそうです。

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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