写真共有サービス「みまもりGarten」 園児たちを見守るしくみ

森井先生(左)と土屋園長(右)。園のシンボルであるくばがさ(久葉笠)と保護者との情報共有に大活躍のスライドショーを流すタブレットと一緒に。

 高層マンションが建ち並ぶ横浜のみなとみらい地区のマンション一階部分に、くばがさ保育園はあります。園名の「くばがさ(久葉笠)」は、久葉の木の葉を織り込んでつくられ、沖縄で炎天下に頭を守る帽子として使われているもの。その笠を「屋根」に例えて、「くばがさのようにひとつ屋根の下で子どもたちを家族のように温かく守る」ということが、同園の方針です。職員20名と0~2歳の園児たち42名全員がひとつのフロアを共有し、働く保護者を応援する保育園という立場だからこそ、「家族」のように園内での出来事を保護者と共有することを大切にしています。

先生みんながカメラマン

写真共有サービス「みまもりGarten」 園児たちを見守るしくみ
ワンフロアの空間でみんなと過ごす

 そんな「家族」だからこそ重要視しているのが園児との意思疎通と保護者との情報共有。クラス別の部屋はなく、ワンフロアの空間で見るもの聞くものすべてが先生と園児同士で共有されており、他のクラスのダンスの音を聞いて、一緒になってリズムをとる子どもたちの姿が見られます。

 また、ベビーサイン協会の認定保育園として、「ベビーサイン(赤ちゃんの手話)」を取り入れ、まだ言葉を覚えていない0歳との意思疎通をはかるとともに、園児自身の表現力を伸ばしています。保護者との情報共有には、連絡帳や送迎時の対話だけでなく、園内の中央にタブレットを設置してスライドショーを上映。夕方のお迎え時には、子どもの身支度を手伝う保護者がスライドショーを見て行く姿が毎日の恒例です。

 スライドショーに流れる写真は、どれも先生各自が持っているスマートフォンで撮影したもの。先生一人ひとりが「カメラマン」となって、園児たちの一瞬を写真におさめ、スライドショーで流す写真も撮影者自らが選びます。「聞くものと見るものをみんなで共有し、先生みんながすべての園児たちのことをわかるように接している。そのため、先生一人ひとりの目線で園児たちの表情を写真におさめることができる」と土屋はるか園長は語ります。「先生みんながカメラマン」という保育の体制を実現させてくれたのが、2015年8月に導入した写真共有サービス「みまもりGar
ten(ガーデン)」です。

その日の内に写真で伝える

写真共有サービス「みまもりGarten」 園児たちを見守るしくみ
先生それぞれの視点から見守る園児たちの表情を撮影

 「みまもりGarten」は、スマートフォンにアプリを入れてアプリから写真を撮影するだけで、自動的にWeb上に随時保存され、それを園内で流すスライドショーに活用したり、保護者と写真を共有したりできるサービス。当園では、園内での写真管理とスライドショーを活用しています。

 撮影した写真はスマートフォン端末に残らないため、スマートフォンを紛失した際の万が一のセキュリティ対策も万全です。すべての先生が常に携帯しているスマートフォンのカメラ機能を使用することで、デジカメを複数人で使いまわす必要がなく、先生一人ひとりが撮影者となる環境が整いました。園児の豊かな表情の数、先生の目線の数だけ増える写真を、「みまもりGarten」が管理しているのです。

 また、スライドショーを活用するようになり、撮影した写真をプリントアウトして切り貼りしていた掲示物をやめました。「サービスを導入した当初は操作に戸惑ったが、スマートフォンを操作する感覚でスライドショーを設定できる
ので、すぐに慣れた。掲示物をつくっていた頃に比べて30分~1時間も時間を削減できたのは大きい。保護者は園内での子どもの様子が気になっているはずなので、撮影した写真をその日の夕方にいち早く保護者に公開し、言葉で伝えることが難しい日常の一瞬も写真なら伝えることができるのでうれしい」と森井知美先生は語ります。「撮影した写真がリアルタイムにWeb上に保管されるため、遠足に出かけた先生と園児たちの様子を園内にいても写真を通して知ることができ、外出時の安心ツールとしても活躍している」と土屋はるか園長も続けます。

 「みまもりGarten」は、今後追加の機能として、顔認証機能、フォトブック作成サービスなどを予定中。「顔認証機能を使って、卒園アルバムを作成する際にも、園児の掲載数が不平等にならないようにと頭を悩ませている先生たちの力になれれば」と企画開発者である(株)ミックウェアの西田氏は語ります。「みまもりGarten」は、6月11日のパステルIT経営実践フォーラムにて出展予定です。詳しくは、当日の出展ブースまで。

写真共有サービス「みまもりGarten」
執筆者
八木侑子

2・4面担当のパステルIT新聞編集スタッフ。ライティングだけでなくデザインも担当しています。

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