伝える・つなげるインターネット 災害時の貴重な情報源に

ツイート(つぶやき)で交流する「Twitter(ツイッター)」。利用者数は1400万人を超えた(2011/1 ニールセンインターネット利用動向調査より)
未曾有の災害が日本列島を揺るがしました。災害発生直後から不通となってしまった固定電話や携帯電話に代わり、安否連絡や最新情報の入手に役だったのがインターネットの各種サービス。今月は「頼みの綱」となったサービスを特集します。

 災害発生時は、まず「何が起こったのか」を正確に把握する必要があります。テレビやラジオからの情報を受け取れない場所にいた人々の多くは、携帯電話の「ワンセグ」(携帯端末向け地上デジタル放送)やウェブサイトで情報を得ていました。

 ポータルサイトの定番である「Yahoo!JAPAN(ヤフージャパン)」は、地震発生から数分でトップページの最も目立つところに地震情報を掲載し、各地の震度や津波警報の発令を知らせました。動画共有サービス「Ustream(ユーストリーム)」では、TBSがいち早くニュースをライブ配信し、次々と明らかになる情報を伝えていきました。
 
 みんなのつぶやきが集まるコミュニティサイト「Twitter(ツイッター)」でも、各地の状況が一斉に伝えられ、それが貴重な情報源となりました。通話はできなくても、携帯電話でインターネットに接続してツイッターを利用できました。ツイッターとは世の中の今を知る最高の方法」。その言葉どおり、地震発生直後から関連するつぶやきで溢れ、事態の深刻さを物語っていました。

 災害時に固定電話や携帯電話、そして携帯メールが使えなくなる原因は、基地局の障害か、あるいは「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる回線のパンクを防ぐための制限です。誰もが家族や知人の安否を確認したい状況ですが、警察や消防などへの緊急通話を優先するために一般通話に発信制限をかけるのです。このような状況では、緊急連絡網が機能しません。

 また、メール配信サービスも保護者に一斉連絡が出来る便利なサービスですが、携帯電話へのメール配信が大幅に遅延する状態では、その役目を果たしきれない可能性があります。
 

複数手段を日常的に活用

伝える・つなげるインターネット 災害時の貴重な情報源に(サブ)
↑スマートフォンで利用する人も急増

 このような緊急事態においては、複数の連絡手段を通じて安否情報や最新情報を得られるようにしておきたいものです。今回の地震では、その手段としてインターネット上の様々なコミュニケーションサービスが広く使われて注目を集めました。

 ネット上のコミュニケーションサービスは、社交の場。「ツイッター」をはじめ「mixi(ミクシィ)」や「Facebook(フェイスブック)」など日本でも様々なサービスが盛り上がってきています。いずれも会員登録(無料)をすると自分専用のページが設けられ、そこを拠点として情報発信をしたり、仲間が発する情報に反応したりしてコミュニケーションを楽しみます。日頃は仕事や趣味の話題が中心でも、災害時にはこれが緊急連絡網になります。

 ご近所づきあいと同様に、こうした日常的に慣れ親しんだコミュニティこそが、いざというときも頼りになるというわけです。(関連の話題は2面につづきます)

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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