「空気が全然違うとわかるようになるんです」。佐藤氏は、「なにわの発明王」として名高い株式会社MHCの田中会長の講演を機に、同社の空気清浄機(スーパークリーン一番)や空気活性器(新林の滝)、加湿器の存在を知りました。そして、園内で風邪が流行った時、これを試験的に導入。自身もひどい花粉症に悩まされていたため、その効果も検証してみたいと職員室にも置いてみました。
その効果は佐藤氏以外にも複数の保育士が実感したと言います。園児の欠席率は急に減少しました。子どもたちの風邪がうつってしまうのか、毎年必ず体調を崩していた保育者も休むことがなくなりました。目に見えない空気の「質」の大切さを実感した佐藤氏は、その後も予算を捻出、導入台数を増やしています。
健康な体づくりに欠かせない「食育」には、以前から力を入れていました。給食はJAと提携し、地産地消を基本としています。メニューはコンセプトを重視。和食で野菜や魚類が多いのですが、中華や洋食、ときにはインド料理も登場します。外食時やテレビ番組で見聞きした情報もメモをとったり、ケータイカメラで撮影したりして給食会議で伝えます。アメリカの食改善指針を提唱する「マクガバン・レポート」をはじめ、インターネットや文献で食に関する造詣も深めるなど、日々研究も続けているのです。
↑和食メニュー:秋刀魚のゴマ揚げ、さつま汁、ほうれん草とえのきの和え物
「清掃第一」の意識徹底
保育室に流れる心地よいBGMは保育者のセレクト。オルゴール調やピアノなどのやさしいメロディは、子どもたちの穏やかな情緒を育み、保育者の心も癒しています。また、清掃活動も念入りに取り組んでいます。「どんなに優れた機器を導入しても清掃への配慮がなければ意味がない。清掃第一。そのことを忘れずに、全員で徹底した習慣を持ち続けたいですね」。
玄関脇の「インフルエンザコーナー」は、保護者への情報提供のひとつです。生活習慣や体質など、病気は多くの要因から発生するので、基礎知識や予防策、エチケットも含め、保護者にも理解を促します。みずからが学び得た環境や体づくりの知恵を、保育者や保護者、地域の人々とも共有しようという佐藤氏の原動力。それは「すべてはみんなのしあわせのために」という信条なのです。
「自利利他同一」「共生」を信条に、良いと思うことはどんどん実践しています。