みずから考え、気づく子どもに パソコンあそびで感性教育

パソコンに向かう子どもたちの目は真剣。集中している様子がわかる
小田原市にある学校法人小田原教育メディア 富水幼稚園では、「考える教育」を重点的に実施しています。「SIあそび」をはじめ、音楽や体操、栽培や飼育、そして「パソコンあそび」。様々なものを取り入れる大塚園長に教育方針を伺います。

 大塚園長が「パソコンあそび」を導入しようと思いついたのは、今から30年ほど前でした。「パソコンという道具は、みずから考えながら操作し、やりたいと思ったことができるようになる。子どもたちの脳に良い刺激を与える科学的教育の実践ができるに違いない」。そう確信したのです。

 しかし、当時の日本には、まだ教育にふさわしいハードやソフトがありませんでした。そこで、大塚園長は海外の大手コンピュータメーカーの社長に直接交渉を繰り返し、理想的な環境を創りました。また、外国人男性を採用し、英語とパソコンの指導を任せました。こうして先進的な取り組みが始まったのです。

みずから考え、気づく子どもに パソコンあそびで感性教育(サブ1)
↑「かぐや姫」にちなんだ漢字を学習中

 現在でも、約20台のパソコンが並ぶパソコン室があります。お絵かき、絵本、科学や数学分野の知育ソフトなどを教材とし、専属指導者が一週間に一回、全園児に取り組ませています。パソコンあそびを通じて、子どもたちには自信と自発性が芽生え、友だちとのコミュニケーションにも大きな効果が表われているといいます。

常に新たなアイディアを

 同園の設立理念は「人類のための本物の人物をつくる」。理想の教育活動に必要だと思ったことは何でも取り入れたいと考える大塚園長は、IT導入にも積極的です。

 運動場には「ウェブカメラ」が取り付けられています。子どもたちが楽しく遊ぶ様子は、保護者だけがパソコンや携帯電話を通じて見られるようになっています。防犯目的だけでなく、お母さんたちにも園での教育活動に臨場感を持ってもらいたいとの願いからです。

 送迎バスにはビデオシステムを搭載しました。子どもたちには大好評。細切れの10分、15分にも良い学びの習慣が身につけばと考えました。

 「私が何かひらめいて新しいものを導入しようとすると、『園長、またですか。』と心配そうな顔で職員たちがそう言います。でも、導入後には、その効果にみんな納得してくれているでしょう」。考える、そして実践する。成果を実感しつつ、大塚園長は日々の教育活動を楽しんでいます。

みずから考え、気づく子どもに パソコンあそびで感性教育(サブ2)

↑富水幼稚園ホームページ

みずから考え、気づく子どもに パソコンあそびで感性教育(サブ3)
園長の大塚俊二氏
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独自の発想で科学的教育の実践に情熱を注いでいる。

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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