私と保育現場を変えた「コーチング」 強み活かし自分らしく豊かに

講演中の土方さん。教育や福祉に携わってきた経験を活かしクライアントに接する
静岡市にあるルンビニー保育園。ここで、保育士として働く土方良子(ひじかたよしこ)さんは、「主婦」と「コーチ」という顔も持ちながら、ストレスのない充実した生活を送っていると言います。その秘訣とは何か?土方さんを取材しました。

 「コーチング」とは、目標達成を支援するコミュニケーション技法。コーチはクライアントに気づきを与える助けをします。スポーツ界から企業の人材教育として広まり、教育現場や子育てにも活用されています。

 土方さんがコーチングを知ったのは6年前。人間関係に悩んでいた時、知人のコーチに出会います。そして、自身の気づきから問題解決の糸口を見つけ、悩みを解消しました。これを機にコーングを学び、遂にはコーチの資格を取得。既に200人以上のコーチング実績を持ち、現在はコーチングのクラスを担当しながら、個人クライアント約30人をサポート中です。「忙しい毎日ですが、思い通りに生活できているのはコーチングのおかげ」と笑顔で語る土方さん。目標を定め、それに向かって着実に歩むライフスタイルには爽やかな充実感が満ちています。

 また、土方さんの影響からか職場にも変化が見られました。以前から個々のやる気やスキルは高く、保育理念の共有もできていましたが、相手を尊重する姿勢や前向きな発言が自然と増え、トラブルが起こりにくい環境になったのです。

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↑グループでのコーチング風景

「癖」に気づくことから

 「うちの保育園って保護者からのクレームがほとんど無いんですよ。」と土方さん。保護者とのコミュニケーションで問題になるのは、保護者の話した言葉、つまり表面的なことだけを聞いて対応してしまうことだと言います。「保護者は保育士に何かを相談する時、『これを先生に相談して良いのか』『どういう伝え方をするべきか』などいろいろ悩みます。

 保育士がその背景を認識しているかどうかで発する言葉や対応が全然違ってきます。『わかってくれた』という想いは確実に信頼関係を向上させますが、表面的なことしか捉えていないと、保護者には『わかってもらえていない』という『未完了感』がモヤモヤ残ってしまうのですよね」。8月21日のパステルITセミナーでは、コミュニケーションの癖を知る「アセスメント」と呼ぶチェック表で、まずは自身の癖に気づき、伝え方を考える体験学習を予定しています。

私と保育現場を変えた「コーチング」 強み活かし自分らしく豊かに(枠内) 土方良子(ひじかたよしこ)氏。文科省管轄生涯学習開発財団認定マスターコーチ。日本コーチ協会正会員。コーチ・トゥエンティワンCTP クラスコーチ。パーソナルコーチ。コーチングネットワーク静岡代表。赤ちゃんからお年寄りまでの人々との言葉を超えた「心のつながりコーチ」を目指す。ブログで情報を発信中。
執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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