車内置き去り防止システム 
乗降時アナウンスで 平時にも安心を

後方に設置された「たすけてぼたん」。走行中には動作せず、取り残された時にだけ園児の軽い力で押せる
 2022年12月、「送迎用バスの安全装置の義務化」の方針を受け、国土交通省はガイドラインを発表。多くの企業が開発を急ぐ中、いち早く降車時確認式の装置のトライアルを行った園を取材しました。

 「事故のニュースを聞いた時には、一つ一つの業務の大切さが身に染み、またプレッシャーを感じた」

 そう語るのは、やまた幼稚園でバスの運転や運行管理を担当する川村和槻先生。義務化の話を聞いて置き去りを防ぐ安全装置に直に触れる必要があると感じ、ボタン式ブザーの「まもるくんA(エース)」のトライアルを実施しました。

 「まもるくんA」は、園児降車後キーをオフにすると、車内点検を促すアナウンスとアラート音が流れるシステム。バス後方に設置した「まもるくんA」のプッシュボタンを長押しするとアラート音が解除されます。「ボタン式なので誤作動で警報が鳴ることはなく園の信頼が損なわれる懸念がないほか、操作もシンプルなので安心感がある」と好評です。万が一、園児が車内に取り残されたときには園児がボタンを押すだけで車外へSOSを伝える機能を兼ね備えています。

やまた幼稚園の川村先生

 さらに、「まもるくんA」では、乗降中に周囲の自転車やバイクに注意を促すアナウンスが可能。置き去り防止に気を取られがちですが、意外と多いのが乗降時の接触事故です。同園でも自転車が突然飛び出してきてヒヤッとする場面は今までに何度かあったそうで、日常的に園児の安全を守ることができるのはありがたいといいます。

 「まもるくんA」は車載機器メーカーとして長らく車の安全に携わってきた㈱日本ヴューテックが開発。松波社長は「理念に掲げる顧客第一主義と社会貢献を優先し、誇りをもって製品化した。悲惨な事故を防ぐために有効に役立ててもらいたい」と語ります。そうした同社の想いに応えるように川村先生は「装置の義務化や導入はあくまで手段。これまでのチェックも続けながら装置をうまく活用して、園児を守ることに責任を持って対応していきたい」と強調しました。

やまた幼稚園(神奈川県)

教育方針は「遊びは学び」。自分で考え行動し、世界で活躍できる創造的な人財の育成を掲げ、英語教育に力を入れ、子どもが主体的に学べる場をつくり出している。

「まもるくんA」の製品詳細は、㈱日本ヴューテック公式サイトから。

執筆者
山口 捺暉

パステルIT新聞の営業・執筆のほか、公式LINEアカウントでの最新情報の発信を行っている。

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