
保育園に勤務し、33年が経った。この間、様々な人たちとの出会いに恵まれた。キラキラしたまなざしの愛らしい子ども達、様々なバックグラウンドを持った保護者、そして個性が光る先生方。一般企業では得難い貴重な経験を数多くさせていただいた。時には心が苦しくなるような悩みもあったが、どんな時も同僚や保護者からの温かい励ましの言葉、そして何よりも子どもたちのかわいい笑顔が私を力づけてくれた。支えとなって下さった皆様へ心から感謝したい。
時代は移り、私の世代と現代の価値観には大きな隔たりがあると感じる。しかし、保育の根幹は変わらない。それは「子ども自身が愛されていると感じられる」ことだ。膨大な情報が飛び交う中、その言動が正解か否かを見失う人たちも少なくない。忙しさに紛れて子どもへの関わりが疎かになってしまう保護者もいる。このような現実だからこそ、私たち保育者はいつも子どもたちへの温かなまなざしを忘れないようにしたい。
カトリック園が大切にしている「ひとり一人を大切にする」「思いやりのある心を育てる」「祈る心」は正に今の時代に必要なことを教えてくれる。自分のことだけを考えるのでなく、周囲への配慮を忘れず、他者のために「祈る人」になってほしい。困っている子どもには「どうしたの?」、助けを求める保護者や同僚には「どうしましたか?」と互いを尊重し、共に育ち合える関係でいたい。それこそが、私たちみんなの幸せへの第一歩になるのではないだろうか。
掛川聖マリア保育園(静岡県) 園長 岡本 真理子 先生
製薬会社に8年勤務後、保育士資格を取得。現園に勤務し、園長16年目を迎える。社会福祉法人聖母福祉会理事、日本カトリック幼保連盟常任役員を務める。















