案山子制作では、鳥からお米を守るためにはどんな形がいいかなどを話し合い、色とりどりに装飾を行う園児の様子が見られた
この記事のポイント
- グローバルキッズが食育と農業教育を一体化した「食農教育コンテンツ」を提供開始
- 秋田県能代市の協力で、特別栽培米を味わい、日本の稲作文化を学ぶ
- 日本の農業と子どもたちの成長を支える活動に
お米は国内で唯一自給可能な穀物であり、さまざまな品種が生産されています。しかし現在、お米の1人当たりの消費量はピーク時から半分以下に減少。また、食に対する意識の希薄化から、偏った栄養摂取や朝食の欠食など子どもの食生活が問題となり、幼少期からの切れ目のない食育推進が重要視されています。
そうした中、首都圏を中心に保育事業を行う株式会社グローバルキッズは、全国の園に対し、秋田県能代市の特別栽培米(身体や環境に配慮し農薬と科学肥料の使用を抑えたお米)を用いて食育と農業教育を一体化して行う「食農教育コンテンツ」の提供を開始しました。
「食育の目的は健康な心身を育むこと。食生活の中心にあるお米と、日本の稲作文化を届け、食物への感謝と食べる喜びを伝えたい」と担当者の宮城修一さん。三児の父として子どもの成長や保育業界の未来に向き合い、おいしい給食を届けたいという想いからサービス立案に至りました。
その内容は、安心安全で栄養価の高い特別栽培米の提供に加えて、農家と連携した産地やお米づくりに関する情報提供、苗の生育体験、案山子制作など。オプションで田植え体験や稲刈り体験も可能で、「食べる」「育てる」といった直接的な体験を通じ、食への興味を引き出します。
リリースにあたり、同社が運営する約40施設では、2023年の春から秋にかけて特別栽培米の給食導入や体験活動を先行して実施。参加したグローバルキッズ豊洲園(東京都)の西由香園長は「保育活動では植物の観点から食材の話もしており、園児もお米が稲からできていることを理解して楽しんでいた」と園児の姿をふりかえります。案山子が能代市の田んぼに立っている写真を見たときには、「頑張ってくれているんだね。きっと守ってくれるね」と誇らしげに話す園児もいたそうです。また、炊きあがったお米は「ふっくらしていて、一粒一粒に甘みがある」とのこと。西園長は「食は生きる力に直結するもの。交流や体験、給食での提供を通じて、農業の大切さやお米本来の味を知ってもらいたい」と期待を膨らませます。活動を実施した園に対し同社が行ったアンケートでは、「園児が自主的に園でお米とぎをしていた」「保護者が稲刈りを体験したいと興味を持っていた」などの回答があり、園全体で楽しく取り組む様子が伺えました。
保育×農業で生み出す好循環
農業従事者の高齢化と後継者不足が進む中、宮城さんは「園との交流を通じて地域にも恩返ししたい」と語ります。活動に協力した能代市の農家からは「子どもたちの反応がやりがいにつながっている」とうれしい言葉をもらえたそうです。
「お米づくりのストーリーにかかわり、実際に味わうことで達成感を感じ、食や農業に対する意識が変わる。そんな園児の姿が農家さんに届く。交流をきっかけに農業をやりたいという夢を持つ子が出てくるかもしれない。日本の農業と子どもの育ちを支える好循環をここから築きたい」
同社の理念は「子ども達の未来のために」。取り組みに賛同し、保育業界を共に盛り上げてくれる仲間を募集していくとのことです。
株式会社グローバルキッズ
首都圏を中心に、171施設の保育園・学童保育施設を運営。その他、法人向けサービスとして、給食委託事業や施設開設・運営支援なども行っている。