6月、雨の続くなか遠足の日が晴れますようにと、3,4,5歳の子どもたちはてるてる坊主をつくっていました。
その活動のとき、手紙のやりとりを一度したアメリカのお友達の存在を覚えていた子どもは、
「お友達のところは晴れているかなぁ、雨が降っているかな?」
「お友達の住んでいるところも、晴れますように」
「大きなてるてる坊主をつくれば、想いはきっと届く」
と願いをかけててるてる坊主をつくって送ろうと話はじめ、大きくてカラフルなてるてる坊主をつくって送りました。
子どもたちの会話からは、自分とは違う場所にいる他者の環境では、天気も違うという認識があることがみられます。そして会った事さえないお友達のことをも思いやり、自分たちのいる場所と同じように晴れてほしいと願う、「他者を思いやる」自他の認識、共感性の芽生えを垣間見ることもできます。
今回の事例は、グローバル・コンピテンスを構成する4つの資質の一つ、「他者の視点にたって考えることができる資質」がみられるものでした。つまり、子どもたちが友達の様々な考えに触れるなかで、自分と異なる考えがあることに気付き、新しい考えを生み出す喜びや、他者を思いやる喜びをもつ経験が重要であるといわれています。
また、他者の視点や、思いやりを育むことは、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿の「思考力の芽生え」や「協同性」(平成30年4月改訂の保育所保育指針、幼稚園教育要領)としても挙げられています。
本プロジェクトは、東京大学発達保育実践政策学センター長秋田喜代美教授にご指導を頂き、ハーバードプロジェクトゼロとポピンズ国際乳幼児研究所、ポピンズ施設長メンバーが幼児期のグローバル・コンピテンスはどのように育むことができるのかを2016年から共同研究しています。
2018年6月10日(日)には、東京大学福武ラーニングシアターにて、第9回ポピンズ国際乳幼児教育シンポジウムが開催されます。プログラムは、ベロニカ・マンシーヤ氏(ハーバード大学プロジェクトゼロ主任研究員、本プロジェクト共同研究者)による幼児期のグローバルコンピテンスに関する基調講演、秋田喜代美教授ら(東京大学発達保育実践政策学センター長)登壇のパネルディスカッションです。