人は生きるために何が1番必要かといえば「食べること」です。
『子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。』と内閣府の食育基本法にも記してあります。
しかし今現在、日本には食べ物は豊富にあり、食べることには困らない世の中です。なのになぜ、「食育」ということが叫ばれているのでしょうか。それは、現代人の食生活が乱れているからです。1日3度きっちりと食事をとらなかったり、個食・孤食・粉食と言われるような食事のとり方になっていたりと問題を抱えている家庭が増えています。心身の発達が著しいこの幼児期に「食育」を通して健康な体作りのための食事の摂り方を認識させてあげたいですね。皆さんの園では食育の活動として、どんなことを行っていますか?
給食・お弁当
保育園は基本的に給食ですが、幼稚園によっては給食やお弁当など様々ですね。給食は、「皆と同じものを食べること」ということに意味があり、共有する気持ちを持つことができます。お弁当は、各家庭の食生活が出ており、お友達同士見せ合ったりと違う刺激もあります。昼食の時間は食育の時間です。みんなで楽しく、マナーを守って楽しい時間を過ごしましょう。また最近は、ランチルームという部屋を設定されている園も多く見受けられています。ランチルームの使い方は様々ですが、部屋が変わると気分も変わって、食事への興味もアップしますね。
食事マナー
- 食育の目的の中には、食事マナーを身につけることの大切さもあります。
- 食事の前には、手洗いうがいをして清潔にする。
- 食事の前には姿勢を正し「いただきます」後には「ごちそうさま」を食べ物や作ってくれた人はもちろん、関わってくれた人への感謝の気持ちでいう。
- 食事が始まったら、箸やスプーン・フォークを正しく持つ。
- 日本では昔から、茶碗は左・汁椀は右・おかずは真ん中という和食のルールがあります。
また、三角食べと言って、ご飯と交互に食べます。そうすることで味がリセットでき、味覚の発達を促すことができるという意味もあります。
食材について
絵カードや、実物などを用いて食材の特徴やどういった栄養や働きがあるのかを子どもたちと話し合いましょう。毎日の給食やおやつの時間などに、子どもたちと話し合ったりもできますね。また、食品をバランスよく摂ることを知るために、三色食品群の表を使うと分かりやすいですね。
赤・・・血や肉になるもの
黄・・・力や体温になるもの
緑・・・体の調子を整える
食品をカードにして分類分けをする遊びなども楽しいでしょう。
また、食べることは「命を頂いているということ」です。
野菜や果物はもちろん、魚や肉などもどうやって食卓に運ばれてきているのかを知り、感謝の気持ちを持つことが大切ですね。そして「うんち」の話も大切です。子どもの興味も集中することでしょう。食事と排泄の関係もしっかりと伝えましょう。そういった話をする中で、苦手なものを少しでも口にしようという気持ちも出てくるきっかけになります。
農作物の栽培
皆さんの園では、植物や野菜の栽培をしていますか? 園舎周りに、季節に合った可愛い花を植えてあると、明るいイメージで気分もいいですね。また、周囲からの印象もアップします。農作物に関しては、立地条件等の問題で、園内で畑などのスペースがない園もあるかと思いますが、貸農園などと契約して、栽培している園も多いかと思います。野菜や果物の収穫は子どもたちも楽しい活動ですし、その食材に興味を持ち、また苦手なものを食べられるようになるきっかけになります。最近ではプランターなどでも育てられる作物がたくさん知られていますね。(トマト、オクラ、ピーマン、なすび、きゅうりなどは失敗が少ないようです)ぜひ、その園の環境状態に合った形で、栽培できるといいですね。
クッキング
年長さんになると、1人で包丁を持ったりとできることが増えてきます。しかし、年齢の低い学年でも、タマネギの皮をむいたり、豆をさやから出したり、ちぎる、まぜる、こねる、袋に入っているものを揉むなどの工程がありますから様々な調理の方法があります。クッキングは子どもたちが大好きな活動です。クッキングを通して、5感を働かせ多くのことを感じ取ることができるでしょう。自分でつくったものを、皆で食べる喜びはなんともいえません。自分たちで育てた野菜や果物を使った調理なら、関心が高まります。好き嫌いの改善にもつながりますね。子どもたちの好き嫌いナンバーワンは、生野菜だそうです。しかし、園で収穫した野菜なら食べられた! という話はよく聞く話です。少しでも多くの子どもたちに好き嫌いを克服するきっかけを与えてあげられたら嬉しいですね。
食育活動の教材で紙芝居・パネルシアター他、各社からたくさん出ています。たとえば、こういったものはいかがでしょうか?
参考
美味しいものを食べると、気持ちも落ち着き、心も豊かに育ちます。今の幼児期に皆で楽しく食べる喜び、美味しいと感じられる経験をし、環境を整えてあげましょう。