悩めるお母さんの為にお父さんが開発 絵本の管理システム

「絵本の部屋」の貸出風景。子どもたちがみずから読みたい本を選ぶ。貸し出し業務は保護者が運営する「絵本の会」のメンバーが交代で対応しているという
「絵本管理が楽になるシステムを作れない?」。子どもたちが通う勝山幼稚園(愛媛県松山市)で、「絵本の会」のメンバーとして活動していた奥さんから相談を受けたIT企業の社長、伊予岡浩宣氏。システムを開発して問題解決に一役買いました。

 愛媛県松山市にある勝山幼稚園には、絵本の部屋があります。寄贈された絵本にバザーの収益金で買い足すなどして、約3,000冊の絵本が揃う立派なライブラリーとなりました。園児や保護者が良質な絵本と出会う場として親しまれています。

 管理は保護者で運営する「絵本の会」が担ってきました。伊予岡氏の奥さんもその1人。しかし、手書きの事務作業は煩雑で時間がかかり、時々書き間違えもあります。貸し出し手続きの順番を待つ子どもたちの長い行列ができてしまうこともありました。

 そこで、システム開発を仕事とするご主人に相談。園にはパソコンとバーコードリーダーを用意してもらい、システムは伊予岡氏が開発することになりました。「ITが得意でないお母さんたちでも、『かりる』『かえす』『さがす』という業務がスムーズにできるように」。伊予岡氏は「情報は最小限」ということを念頭に置き、極力シンプルでやさしい雰囲気のシステムを設計しました。システムは4月から本稼働。大幅に貸し出し業務の時間が短縮され、絵本照会や未返却者への連絡もしやすくなりました。人気ランキングを参考に絵本を補充したり、履歴から誰がどんな本をどれだけ読んだか確認したりもできます。「子育て世代は忙しいから少しでも負担を減らしたかった。また、システム導入のメリットは効率化だけでなく、蓄積されるデータを活かせること」。伊予岡氏はこう語ります。

悩めるお母さんの為にお父さんが開発 絵本の管理システム(サブ)

保護者が望むこととは?

  IT企業の社長として常に新しいテクノロジーに触れている伊予岡氏から園に3つの提言です。「プリントを極力減らすべくメール配信を使うこと。写真注文は園に出向かずネットで閲覧・注文できるようにすること。Webサイトと併せてフェイスブックやツイッターでも情報発信を行うこと。この3つで多くの保護者が便利になり、先生たちとも身近になれる。園にも保護者にも良い結果が期待できる」。

  伊予岡氏のようなITの専門家でなくとも、身近になってきたITで園と関わる時間や空間を、少しでも多く創出したいと考える保護者の声を聴きます。子どもの都合で行動が制限されがちなお母さん、仕事でなかなか関わりを持てないお父さんにとって、ITは心強い存在なのです。

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株式会社アイズワン 代表取締役 伊予岡浩宣 氏
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絵本管理アプリケーション「えほんのもり」詳細
http://www.aiz-one.com/bguide/pack/ehon/ 【問合】070-5075-8876

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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