保育現場のIT化推進 緊急雇用事業にて採択

 長引く不況により、増える失業者や未就業者を救済する目的として、全国各地で緊急雇用事業が実施されています。同事業は、各都道府県庁や市役所、町村役場、または委託された民間企業などが実施し、貴重な雇用の機会を創出しています。

 静岡県では、このほど雇用創出事業の民間提案公募を実施し、応募のあった162件の中から実施候補44件を選定しました。株式会社サンロフトが提案した「教育・保育現場のIT活用推進による保育の質向上事業」も採択され、2011年2月より事業が始まる予定です。

 この事業では、静岡県内全域の保育園が対象。まずは、IT利用に関する意識や実態を把握するためのアンケート調査を実施します。その調査結果からニーズを掘り起こして、保育者が求めている研修会や出張サポートなどのメニューを企画しようというものです。研修会や出張サポートを利用する費用は事業費より捻出されるため、園は無料でこれらのサービスを受けられます。こうしたIT活用支援事業を通じて、保育園での実務効率の向上、保護者との連携強化、保育実践に役立つ情報の把握、保育者のスキルアップなど、様々な保育の質向上に貢献するのがねらいです。 

 一方で、事業に関わる新規採用人材には、「未就職卒業者」と呼ばれる若手人材を採用します。様々な事情で就業の機会が得られなかったことから、社会経験に乏しく、就業への不安を抱いている人も多いのが実態です。しかし、ITを受け入れて親しんだり、新しいアイデアを生み出したりする感性に優れているという世代。そこで、ITの基本から教育・保育現場のIT実務技能、ITを活かした企画・広報・マーケティング、コミュニケーション、コールセンターオペレーターおよびITインストラクター技能などの専門技能を習得する研修を受けたあと、この事業で実務経験を積んで強みをつくるのが目的です。

 ITをキーワードに、地域の子育て支援の基盤として重要な保育園のソフト面での充実をめざすとともに、若年層の強みを活かした就業機会を創出するという事業は、全国的にも前例がありません。園と行政と民間企業におけるスムーズな連携が「成功の鍵」となりそうです。 

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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