ITを活かしながら意識も改革 必要な時間は創り出すもの

休日を楽しく過ごすことで、子どもたちとの時間もより充実するという
隣接する興福寺本堂で始まった保育が、今では360名の園児が集うにぎやかな場所となった花園幼稚園(浜松市篠原町)。「子どもの笑顔に無限の価値を見出す」ことを教育の根幹にしているという、理事長・園長の大塚文俊さんを取材しました。

 学校法人興福寺学園花園幼稚園で理事長・園長を務める大塚さんは、長年パソコンを活用した事務効率の向上に関心を寄せてきました。「子どもたちと過ごす楽しい時間がもっと欲しい、よりよい保育をするために、たくさんの研修に参加したい。保育に携わっている人ならみんなそう思っているはず。でも、残念ながらそれを実現できている人は少ない。本当に現場は忙しいですからね。ただ、それで終わってしまっては、何も始まらないし、変わらないんですよね」。

 独学でパソコンを学びながら、園での実務作業の効率化を試行錯誤して来た大塚さん。10年ほど前からは、エクセルの名簿データをワードの差し込み印刷機能で流しこみ、卒園証書を発行できるようにしました。さらに、データベースソフト「アクセス」でより複雑な情報管理にも挑戦。しかし、自信の要望が高まるにつれ、細やかな部分でイメージどおりにはいかなくなってきました。そこで、市販されている園児管理ソフトの導入を検討した大塚さんは、専門業者をインターネットで調べ、パステルラインに問い合わせてみることにしました。入力した園児情報は、名簿や年賀状だけでなく、要録作成にも活かせないか。パステルラインにはすでに同じ要望が上がっていましたが、体的な目処は立っていませんでした。結果的に、大塚さんが提供した情報によって、要録対応版の開発が始まったのです。

創出した時間は自分磨きに

ITを活かしながら意識も改革 必要な時間は創り出すもの(サブ)

 10月上旬、要録の作成に対応した「パステル園児管理」のベータ版(試用版)が完成。早速大塚さんに試用してもらいました。「やっぱり専門業者が作るテンプレートはレイアウトがきれい。入力した文字が罫線にかぶることもなく、様式にきれいに収まるように文字サイズや行間も調整できる。また、文字列を選ぶだけで書類が作れたり、オリジナルの文例を登録したりできるのがいい」。パソコンとの格闘作業を経験しているだけに、便利さを実感されるようです。「要録は機密文書。次のバージョンアップの頃は、『ネット上にデータを置く方が安全』というセキュリティの新しい考え方も浸透し、システムもデータもインターネット上で管理する時代になるのでは?」と大塚さん。確かに、パソコンが盗まれ、個人情報が漏洩する事件がありますが、データがパソコン保存されていなければ、被害は最小限です。

 今後はITに慣れた世代が職員になるので、事務作業の効率化は自然に進められそうです。「8月の長期休暇は『自分磨き』。生活が充実している先生は、子どもとの関わり方も上手。自分の時間を大切にしてほしい。IT化に期待するのは時間の創出」。心のゆとりは、先生の笑顔にさらなる「きらめき」を与えてくれることでしょう。

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

注目の話題