本当の「子どもの家」づくり 理想的な自由空間をめざして

渋谷区役所神南分庁舎の屋上庭園に学んだ、むくどり保育園の屋上庭園
相模原市で3つの保育園(むくどり、むくどり第二、むくどり風の丘)を経営する社会福祉法人ムクドリ福祉会の名は、廣介童話「むくどりのゆめ」に由来します。子どもたちがのびのびと過ごす園内を理事長の朝比奈さんに案内して頂きました。

 むくどり保育園の屋上にはプールと庭園があります。地元のガーデナー名人の協力を得て、理事長みずからが助手をして造りあげました。六本木ヒルズの屋上庭園と同じ興人の開発した「ドムターフ」(土壌不要の芝生マット)は、人工芝にないやさしさがありますが、手入れは必要。理事長は草むしりに汗を流します。第二保育園にも屋上プールと高麗芝のエリアが設けられていますが、現在本格的な屋上野菜畑の計画が進行中だということです。

 今年開園したばかりの風の丘保育園は、市内の保育園では初めてとなる木造園舎。園庭に敷き詰められた青森ヒバのチップの上を、子どもたちは走りまわったり寝転がったりして楽しんでいます。太陽熱で空気を温め床暖と温水を効率的に作るOMソーラーシステムも導入されました。

 モンテッソーリ教育をベースに日常生活に重きを置いているむくどり保育園では、子どもの個性と自主性を大切にしたオープン保育を行っています。カフェテリア方式の食堂は、11時30分〜13時のあいだに、おなかのすいた子から好きな席で給食を食べます。「むくどりっ子」たちは、自然に抱かれた心地よさを感じながら、毎日を自由に、そして主体的に過ごしているのです。

本当の「子どもの家」づくり 理想的な自由空間をめざして(サブ1)
本当の「子どもの家」づくり 理想的な自由空間をめざして(サブ2)

↑無垢のヒバ材を用いた園舎と様々な植物が息づく園庭(むくどり風の丘保育園)
 

心の声綴る理事長ブログ

こうした保育環境をつくるまでには、予算や行政ルールの大きな壁に阻まれるなど、様々な苦労がありました。しかし、「良い保育園をつくってください。」と応援してくれる人々の励ましに支えられ、今日の園ができたといいます。そのことを理事長のブログ(簡単に情報更新ができるしくみ付きホームページ)が静かに語っています。

 「最終的には『人』なんですよ。」保父の経験もある理事長。子どもたちだけでなく、保育者を育む環境にも心を配る毎日です。

本当の「子どもの家」づくり 理想的な自由空間をめざして(枠内1)
理事長ブログ「青鬼と歩こうよ」

本当の「子どもの家」づくり 理想的な自由空間をめざして(枠内2)
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理事長 朝比奈秀行氏
「童話同人赤鬼青鬼」の代表幹事も務めている。

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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