「原点回帰~子どもの未来をつくる人~」は、保育・幼児教育において大切にしたい原点を園長先生が語るコラムです。今回は、認定こども園くるみこども園の戸巻聖園長の「原点」を教えていただきました。
教育の根源は幼児教育。強い幹やみずみずしい葉を育てる土となる――。ノーベル賞受賞者の江崎玲於奈さんの講演がきっかけで、僕は保育を志すことを決めました。
最初に赴任したのは北海道の幼稚園。26年前のことでした。市内初の男性教諭として意気込んでいましたが、当時は男性であることを理由に上手くいかないこともありました。そんな中、一緒にクラスを受け持ったベテラン先生からは多くのことを学びました。
その先生は声掛けの言葉として「どうしたの?」「大丈夫だよ」をよく使っていました。「どうしたの?」は声のトーンと表情を変えるだけで、子どもが嬉しいときも悲しいときも、その気持ちを引き出すことができます。そして不安ばかりの子どもたちにとって、先生の「大丈夫だよ」は安心できる魔法の言葉です。
僕たちは親にはなれませんが、子どもとの信頼関係を築き、いざというときに助けを求められる「共にいる人」であることが大切です。そのために、園長となってからも「どうしたの?」「大丈夫だよ」の声掛けは実践し、職員にも伝えています。そして保守的な園の環境に対してベテラン先生が掛けてくれた「あなたが覆せばいいでしょ」という言葉は忘れられず、今でも僕の背中を押してくれています。
柏市で園長をして8年、園では「やってみよう!」を理念にしています。それは職員にも同じことです。自分の思う保育を形にして、自分らしく挑戦すれば、きっといいことがあるはず。そう信じています。
認定こども園 くるみこども園 園長 戸巻 聖先生
留学の経験から子どもの多様性を重視。現在はくるみこども園の園長を務める傍ら、全国認定こども園連絡協議会の会長として、子育て支援や保育・教育の質向上を呼びかける。
認定こども園くるみこども園
一般社団法人 全国認定こども園連絡協議会